骸砦は愛に溢れているようです。【澁澤龍彦】 (ページ10)

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束縛の指輪ページ10

＊前々作の最終話を読んでいると話が分かりやすいです＊
＊ほんの少しだけ注意＊

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「Aちゃんのその指輪綺麗だね。白銀に宝石とは中々のものだよ」

『ああ…これですか、澁澤さんが前にくれたものなんです。綺麗ですよねこれ』

私の左手の小指に嵌っているピンキーリング。
プラチナに翠色の石が埋め込まれている。

『エメラルドにしては少し色がくすんでるし、何の石なんだろ…』

「……」

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「あぁ、それはマラカイトという石だよ」

『へぇ…初めて聞きました』

「和名では孔雀石とも呼ばれるものだ。少し気に入っていてね」

Aから唐突に指輪に嵌められている石を教えてほしいと言われ、この会話に至る。

矢張り普段からルビーやダイヤモンドやオパール、エメラルドにトパーズといったものばかり集めている私が

マラカイトなんてあまり有名とは言えないものを使ったことが不思議に思ったのだろうか。

『これ、やっぱり高い指輪なんですね。
小指のためにプラチナとマラカイト？を使うなんて…』

「生憎金なら腐るほどあるのでね。君も知っているだろう」

惜しむつもりはないんだよ、と言うと
『金銭感覚直さないとですね』と返された。
まぁ良い。

しかし、太宰君は矢張り邪魔ばかりする男だ。
恐らく彼は気付いている。全く、本当に、目障りなことを。

「無知で白痴な私のA」

彼女の指輪のマラカイトが、妖しく光った。

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「やっぱりあの男は危険だねえ」

Aちゃんも可哀想だ。
知らずのうちに全てを把握されてしまっているのだから。

その指輪は中に盗聴器が仕掛けられている＿＿＿＿流石にそれを言うのは憚られてしまった。

「どうせあの石にも何か意味があるんだろうけど」

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マラカイト：危険な愛情