骸砦は愛に溢れているようです。【澁澤龍彦】

誕生日 ページ9

『澁澤さん、誕生日おめでとうございます！』

突然後ろからぎゅう、と羽織ごと抱き締められ振り向くと、ニコッと笑う彼女の姿があった。

「……あぁ、今日は5月8日か。忘れていた。」

『だろうなと思いましたよ。だからこうしてお祝いしてるんじゃないですか』

離れたかと思えば、クイクイと私の腕を引っ張るから。

「なんだ？何か贈呈品でもくれるのか？」

『うん、あげるからちょっとしゃがんでください』

「……………………ネックレス？」

彼女のいう通りしゃがんでみれば、首に掛けられたのは洒落た装飾の施されたネックレス。

『私が持ってるネックレスとお揃いのやつですそれ』

「ほう、君からペアルックとやらを所望するとは。どういった心境の変化だ？」

笑ってやればムッとした顔で『…悪いですか』とそっぽを向いてしまった。

「いや？寧ろ逆だ。私の誕生日をキッカケに随分と大胆になったものだと感心したよ。」

もう誕生日など別段楽しみにもならない妙齢だが……


「Aが祝ってくれるのならこの日もまぁ、悪くはないな。」

〜〜〜〜〜〜〜
澁澤さん誕生日おめでとうございます！

2019.05.08

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