骸砦は愛に溢れているようです。【澁澤龍彦】 (ページ6)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:25,280 hit

ホワイトデーページ6

今日は、3/14日。
そう、待ちに待ったホワイトデーだ。

『～♪』

友達から「ホワイトデーにお返しするね！」と言われたのも待ち望んでいる理由ではあるが。

やっぱり1番の理由は、澁澤さんである。

「返礼は必ずしよう。楽しみにしていてくれ」

ヴァレンタインデー、彼にあげたチョコがなぜかキスの材料に使われてしまったわけだが。

何をくれるのか。

『しーぶさーわさん！来ましたよ！』

「…あぁ、随分と機嫌が良さそうだな。まぁ大方予想はつくが」

『澁澤さんの返礼、とやらが楽しみで』

対面の椅子に座ってじっと彼を見つめると、ぽいっと円卓の上に紙袋が置かれる。

「開けてみたまえ」

その言葉に従って袋を開けると

『これは…』

中には1本の赤いルージュが入っていた。
最近女性人気が高くてCMや広告塔などにもよく出ているやつ。

しかも人気だけでなく値段も高いやつ！

『こっこんな高い化粧品使えないです！！第一私には似合わないし…』

「なんだ、不服か」

『えっ違っ』

彼を見ると頬杖をついてほんの少し不貞腐れた顔をしていた。

「それを手に入れるのに相当の苦労をしたのだがな、私は」

『う、ぅぅ…でも、これは割に合いませんよ…』

「そんな事を気にしているのか？いや、君らしいといえば君らしいな。」

すると私が手に持っていたルージュをするりと抜き取りキャップを開け

『…？』

そしてぐ、と身を乗り出してきて私の顎を掴み、唇にそのルージュを塗り始めた。

「……………あぁ、似合ってるよ。林檎の様に赤くて、艶があって……」

＿＿＿＿＿食べてしまいたくなる。

『ッ？！』

「おや、どうした？」

この人のこういう所が本当に心臓に悪い。

『……今ちゅーしようとしましたね』

「君はこのような時だけ賢いな。だがわかっているなら話が早い」

椅子から退いて彼と距離を取った私に、どんどん近づいてくる。

「…………私の返礼が、楽しみだったんだろう？」

これだけで終わるわけがない。と一言聞こえた言葉を発した唇は

次の瞬間には私の其れに噛みついていた。

～～～～～オマケ～～～～～

「いらっしゃいませ、何かお探しですかお客様」

「…………恋人への贈呈品(プレゼント)を探しているのだが」

「…！それでしたらこちらのルージュは如何でしょうか？最近人気でして、キャッチフレーズが“彼がキスしたくなる色艶を”という…」

「…ふむ、ならそれを頂こう」

1日遅刻申し訳ありません…