七人の殺人鬼 (ページ23)

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第２３章「気まずい」ページ23

シロ「…」

貴「…」

あの後、エルンドさんはゆっくりと私を降ろされてからシロさんを睨みつけるようにして舌打ちをしてから大きな音を立てて部屋を出て行ってしまった

シロさんも「適当なところに座っていて」と言ってから本や魔法で映し出された何かに向かい合って何かを書き出していた

それ以降の会話はないままもう何十分経ったのだろう

私は包帯の巻かれた手を見て少し戦慄した…

…＿＿＿どうして、こんなになるまで
痛みを感じられなかったのだろう。

もしかしてあの事件のせい…＿＿＿？

思い出すたびに体が震えるのが分かる
あの時の痛み、忘れてなんかない。
忘れられるわけがない…＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

本当は私、バケモノなのかも…

自然と頬を伝うように流れた無数の涙が
自身の手の甲にポタポタと落ち染みをつけていく

それ、よりも

私のせいでシロさんとエルンドさんの仲を裂いてしまった

それがなによりもつらい
申し訳なくて、なのに自分は何も出来ない

情けない

いくら体が代わっても私は大人のはずなのに
社会人だったはずなのに、

自立すらしていないじゃない…

.

.

.

.

シロ「…ぁ、ごめん。起こしちゃったかな」

貴「…え、あ…す、すみません！私のことで時間をとらせてしまっていたのに…！」

シロ「別に気にしなくていいよ」

貴「…あのっ、エルンドさんは悪くないんです。
私が気付けなくて…それで＿＿＿」

言おうと動かしていた唇をシロさんは人差し指で
ちょんっと軽く押した

思わず声が出せずに空気が漏れただけだった

シロ「それこそ気にしなくていいよ。
エルンド・シーラとはどうしても気が合わなくてね

向こうもそれを気にしてお酒持ってきてくれて…
僕も断る理由もないしお酒は好きだから

よく朝まで飲んでいたりするんだ
…まぁ泥酔されるのは嫌だけどね」

そう語るシロさんの表情は柔らかくもあり
少し悲しげでもあった

シロ「口論はよくあることなんだ。」

貴「そうだったんですね」

そう言ってふとある事に気付いてクスッと
小さく笑ってしまった

それに気づいたシロさんは「どうかした？」と
尋ねてきたのに対して私は少し心を和ませた

貴「…シロさんって真剣な話の時とか
誰かの事について話すと「僕」って言うんですね」

…

..

.

シロ「(ボンッ」

顔を真っ赤にして「いや、違…」と
慌てる姿が年下らしくて私はまた小さく笑った