過去 ページ10
「名を名乗ったところで、零さん。
君は兄弟はいるの?」
「……兄弟。」
「例えばお兄さんとか。」
「……いる。一郎にいちゃん…っていうの。」
「やっぱりね。」
「え?」
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そして、夜になった。
「……ハァハァ、寂雷さん!」
蛍光灯が光る中、見覚えのある人影。
「にいちゃん。」
「やぁ、一郎くん。」
寂雷さんが立ち上がった。
「すんません!妹が‼ 」
寂雷さんに深々と頭を下げた後、こちらに
ズカズカと歩いて来た一郎にいちゃん。
「………零。」
「一郎にいちゃ((バシッッ ……いっ!」
右頬に痛みが走った。一郎が零の頰に
ビンタをしたのだ。
「バカ野郎!!あれほど喧嘩はするなって……
にいちゃん言っただろ!」
「………。」
「一郎くん、彼女をそんなに怒らないであげて。」
そっと一郎の方に手を置く寂雷。
「……っでも。」
「今日はもう遅い。早く零さんを連れて帰って
安静にさせなきゃね。」
「色々迷惑かけてすいません、寂雷さん。」
頭を下げる一郎に笑いかけた後、寂雷は零のところに歩み寄る。
「零さん、まだ傷が痛む時は新宿にある
この病院に来るといい。」
寂雷は零に名刺を渡す。
「………。」
「あと、約束してくれるかい?
これからは自分の体を大事にすること。」
「……うん。」
「せっかくの美人が台無しになったら
いけないからね。((ニコッ」
「……!!……じ、寂雷…せんせ…ありがと。」
「ん。それじゃ、ぼくはこれで失礼するよ。」
一郎と零に背を向ける寂雷。
「あのっ!また会いに行っていいですかっ⁉ 」
「………うん。いつでも、体を悪くした時は
おいで。治してあげよう。」
「………せんせ。////// 」
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ぼくはこの機をきっかけに不良という肩書きを捨てた。普通に生きる……という感覚を得ることを寂雷先生に教わった。あの人に出会ってぼくは変わったんだ。
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悠希(プロフ) - いざなみ、の漢字違います。“伊弉冊”じゃなくて“伊弉冉”です (2021年1月6日 8時) (レス) id: 4567dea704 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。そしてオリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年9月23日 14時) (レス) id: 6c5225143e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャーベット | 作成日時:2018年9月23日 14時