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ありがとう ページ19

「一二三くん!」



先生が来た。黒い車を停めてこちらに走って来た。
僕は読んでいた小説をパタンと閉じた。もう夜中の7時。そういえばこの公園で先生と初めて会ったんだっけ。隣の伊弉冊さんはまだ僕の服の袖を掴んでいた。



「先生。こんばんは。」


「れ、零さんも。ありがとう、一二三くんは。」


「……伊弉冊さん、ホラ、先生が来ましたよ。」



僕は伊弉冊さんの方を揺さぶった。あ、もう触って大丈夫なのかな。伊弉冊さんは顔を上げてコクンと頷いた。あー、綺麗な顔が…目元が赤くなって台無しになっていた。



「一二三くん、独歩くんには僕から説明させてもらったよ。零さんも、今日は私が家まで送るから。」


「はい、ありがとう先生。伊弉冊さん、行こう。」




先生が車を走らせた。僕は伊弉冊と後ろの席に座っていた。


「一二三くん、またストーカーにあったんだって?
独歩くんが話していたけど妙な手紙が届いたらしいね。」


「み、妙な手紙?」


僕はなんのことかわからなかった。
でも、なんとなく察しがついた。妙な手紙、おそらく今日のメンヘラ女のことか。



「き、……きょうあった…お、おんな。」


「もう大丈夫です先生。そのことは……。」


「……そうだね。これ以上は何も言わないでおくよ。」



そして僕の家に着いた。家の前では仁王立ちの一郎にいちゃんがいた。その後ろには二郎にいちゃん、三郎もいた。



「零!お前ってやつは!」


「心配したんだぞぉ!誰かにゆ、誘拐されたのかと!」



「うるさい低脳!お姉ちゃんがそんなやわなわけないだろうがっ‼ で、でもよかったぁ〜!」



車からは先生がクスクス笑っていた。
この兄弟はほんと過保護すぎる。
僕ははずかしくなってついさけんだ。


「もういいからにいちゃん達は黙ってて!」


すると、ヒュッと静かになった。
僕はふいっと後ろを向いて先生と伊弉冊さんに
あいさつをした。



「先生、伊弉冊さんをお願いします。
…伊弉冊さんも、気をつけてくださいね。
ほんと世の中女は怖いものなので。」



僕は伊弉冊さんに笑いかけた。伊弉冊さんは
無言でこちらを見る。すると、


「あ、の……ありがと…
あと、また今度は俺っちのとこに遊び来てくれるかな…独歩と待ってるから。」


「…………はい、また。」



先生は伊弉冊さんを連れて新宿へ。伊弉冊さんは見えなくなるまで僕に手を振っていた。

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悠希(プロフ) - いざなみ、の漢字違います。“伊弉冊”じゃなくて“伊弉冉”です (2021年1月6日 8時) (レス) id: 4567dea704 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。そしてオリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年9月23日 14時) (レス) id: 6c5225143e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シャーベット | 作成日時:2018年9月23日 14時

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