デート(仮) ページ9
そして、その日はやってきた。
吉良ヒロトはいつもの格好で外に出ようと思ったところ、姉の瞳子に引き止められてしまった。
ヒ「くっそ、かったりーな。」
相手はお嬢様…という理由もあり、本日はもっとカジュアルにいかなきゃ、という姉のコーデに従った。
いつものタトゥーシールを外し、伸び切った髪の毛は一つにまとめてワックスで固めていた。そして黒と白のラウンドネックにジーンズ、アクセサリーは腕時計とシルバーのペンダントというシンプルな格好だった。
駅前に集合と言ったけど、まだ時間はある。こんな格好、他校のサッカープレイヤーに見られたくねぇ、と思いながらキョロキョロしていた。
女1「あの〜、もしかしてお一人ですか？」
女2「よかったら、お食事でもどうですか！？」
女3「も、モデルさんとかですか？」
数人の女子がこちらに駆けてきた。身なりのせいだろうか…女子共は地味な見かけによらずグイグイ寄ってくる。くそ、身動きとれねぇ！
『吉良さん。』
声の方に目をやると、白のブラウスにフリル付きのチェックのスカート、髪の毛はサイドに括っている一之宮オジョーサマが立っていた。
そして、ヒール付きのローファーを鳴らし、俺の腕を取り……
『失礼、この方は私の連れですので。』
にっこりと黒い笑顔に女子達は「行こ…」と、ゾロゾロと離れていった。
ヒ「はぁ…助かったぜ。」
俺は一言礼の言葉を送る。
『いえ、こちらこそ折角のハーレムを邪魔してすみません。』
ヒ「な 」
『冗談ですよ。^ ^』
その黒い笑顔は…本当に冗談と言っているのか？
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作者名：シャーベット | 作成日時：2021年6月21日 2時
