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沖矢さんがパウダールームから出ていって、直ぐに私は警察に通報をしようとスマホを手に取った。
手が、震える。
しっかりしなくては。
胸元のコインネックレスを縋るように握りしめる。
110を押そうとした時、ふと、零さんの言葉を思い出した。
《僕に連絡がつかず緊急を要する時、風見に連絡するように》
連絡先リストから《風見さん》を探し出すと迷わずコールした。
ほんの数コールで彼は電話に出てくれた。
『も、もしもし！わ、私、姫宮Aです…！零さんを助けてください…！』
「姫宮さん!? 降谷さんに何かあったのですか!?」
慌ててそれしか言えなかったのに、風見さんは緊急性を感じて、落ち着いて状況を説明するように話してくれる。
横浜の新しく出来た有名リゾートホテルにいること。
拳銃を所持した犯人達に、零さんとコナンくんとお客さん達が、グ ランドボールルームに監 禁されてしまったこと。
犯人の凡その人数。
自分はたまたま化粧室にいて難を逃れられたことなど、沖矢さんに伝えてくださいと頼まれたことは全て詳細に伝えました。
「直ぐに県 警 機動隊を向かわせますので、その場所が安全なら絶対に動かないように」
と指示され、お礼を伝えると通話を切った。
ホッと胸をなで下ろしたのも束の間、煌々としていたパウダールームの照明が、バチンと音を立てて全て消えてしまったのだ。
『ひっ…な、なに?!』
慌ててスマホを開いてライトのボタンを押すと、少しだけ明るくなったが、陽の光が完全にシャットアウトされた窓ひとつないパウダールームは完全に闇の中で、足が竦む。
しかも鏡張りだから、めちゃくちゃ怖い。
実は暗所恐怖症の私は、夜寝る時だって小さな明かりを付けて寝る派なのだ……寝る時の話は今はどうでもいいけど…
とてもじゃないけど、こんな暗闇の中には居られない。
化粧室の外は少しでも明るいのだろうか…？
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作者名：ひより | 作成日時：2023年4月21日 21時
