10 ページ10
.
それにしてもこの人たちは
どこに行くつもりなのだろうか
相変わらず掴まれてる腕は痛い
騒ぎになるのが嫌であの後黙って着いてきたはいいけどどうやってこの人たちから離れるか…
『あのどこ行かれるんですか』
「どこって…大人なんだからわかるでしょ」
『イイエ、ワカリマセン』
このままではちょっとまずいのでは?
うーーーーん。
逃げよう。
ちょっと相手には可哀想だけど仕方ない
私の腕を掴んでる手にがぶり、と噛み付いた。
「いっ……」
よし、離れた!
今のうちに逃げるのよ!!!
走るのは苦手だけど全力で!!!
………って、えっ
『いったいーー!!』
ド派手に転んでしまったのだ。
うぅ、なんで私なの…
どうせならあの人達が転べばいいのに…理不尽だ
「てめぇ!ふざけた真似しやがって!」
『あ、ははは、』
彼は手を上げた。
殴られると思い固く目を瞑ると
その痛みはやってこない。
「先生に手出さないでくれる?」
『へ……』
そこに居たのは神威くんだった。
きっと絡まれてた生徒が言いに行ったんだと思うけど喧嘩になりそうじゃない?
「なんだ、てめえっ…」
「うるさいなぁ、そんな大声で言わなくても聞こえるよ…それより、さ」
「ガキはすっこんでろ!」
「俺は今ものすごい怒ってるけど先生と喧嘩しないって約束したから…警察呼んどいたよ」
「ちっ、」
そう言うと2人組は走って逃げて行った。
神威くん、あの約束守ってくれてるんだ
『あ、りがとう』
「いいえ、それより。女なんだからああいうのは男の人に行ってもらった方が良かったと思うよ…まぁ先生は考え無しに言ったんだと思うけど。ほら膝血が出てるよ」
『あ、ほんとだ。さっき派手に転んじゃったからね』
ホッとしたからだろうか
今頃震えて立てやしない。
しっかりしてよ、
ただでさえ生徒の前なのに。
そう思っていても
怖かったことには変わりない。
「…怖かった?」
『え…そんなこと』
「泣いてる」
私の頬に手を添え
涙を拭うと神威くんは少し悲しい表情で
『これは!…足が痛くてですね!』
「うそつき、震えてるくせに」
『こ、これも武者震いってやつで…』
「見え透いた嘘だね、弱いクセに正義感だけは強いんだから」
『……』
「先生、どうせ歩けないんでしょ。」
『もうちょっとしたら歩けると思うから先に……ひっ』
先に行っててって言う間もなく
お姫様抱っこされていた。
.
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かか | 作成日時:2019年8月1日 20時