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『ちょっと!おろして!』
「やだ」
『変な噂でも流れたら…』
「言わせとけばいいんだよ、それにまだ歩けないでしょ」
どうしよう、あともう少しでみんなの所に着いてしまう。
ええい、こうなったら
神威くんには悪いけど押すしかない!
神威くんの胸元を強く押した。
私の計算上すぐに尻もちつく痛みが来ると思ったけどその痛みはなかった。
「なに?押して離れると思ったの?…馬鹿だね先生」
なぬ!?
なぜなの…結構思いっきり強く押したのに…
「先生の力なんてたったそれっぽちの弱さなんだよ
。男が本気になれば女なんてすぐに襲えるんだよ…ちょっと甘くみすぎてない?」
その言葉に私はゾクッと背筋が震えた
あの時神威くんがこなかったら
私は今頃あの人たちに何をされてたんだろう
そう考えると怖くて自分のした行動に情けなく思った。
「また泣いてる…怖がらせるつもりはなかったんだけど、また同じこと起きた時繰り返すかなって思ったんだ。」
『ご、めんなさい…』
「反省してるんだったらいいんだよ。これじゃあどっちが大人かわからないね」
ほんとにそうだ。
生徒に説教されて挙句の果てに泣いてしまうんだもの。
「おい!A!大丈夫か!?」
『せ、せんぱい』
先輩と沖田くんが走ってきたのか
息を切らしていた。
「っ!てめぇは!!本当に馬鹿だな!なんで一人で行くんだ!」
『ごめんなさい…』
「…怪我もしてやすよ」
「神威、助けてくれてありがとうな…あとは俺が運ぶから大丈夫だ」
「とーしろー先生、説教はもうしなくていいと思うよ。すごく反省してるみたいだし」
そう言って神威くんは私を下ろすと歩いていった
「どうしようもない馬鹿な先生でさァ、昔からそうなんでィ。お人好しもほどほどにしなせェ」
『う、うん』
「今日は仕事はいい旅館で休め」
『それはできません!』
「いいから休め…これは命令だ」
先輩、怒ってるな…
お言葉に甘えよう。
私って教師向いてないのかな…
想像していたものと明らかに違くて
でもそれは私が未熟なだけで
大人になりきれてなくて
冷静な判断ができてないと深く反省する1日だった
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作者名:かか | 作成日時:2019年8月1日 20時