【三人称】今夜はあなたと【短編集】 (ページ3)

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『…起こすか』

恐る恐る肩をポンポン叩いてみるけど、反応はない。軽く揺すると、うーんと唸った。

『Aちゃん朝だよ、起きて？』

『んぅ…』

ゆっくりと瞼が開いてこちらを向いた。目を擦りながら欠伸をするAちゃん。

『お、おはようAちゃん…』

「…ひょう、じゅんしゃ…おはよ」

死んだ。可愛すぎる。
普段も寝起きはふにゃふにゃだけど、小さくなったせいなのか普段の何倍もふにゃふにゃになっている。

『お、俺のこと、わかる？』

「うん…？ひょーじゅんしゃん」

『ヴｯｯ…い、今Aちゃんの体が小さくなっちゃってるんだけど、大丈夫…？』

「…ふぇ？ちっちゃい…ちっちゃい？」

まだあんまり分かってないのか？それとも中身も5歳くらいになってしまったか。

『まぁいっか…Aちゃん、お腹すいたでしょ？そろそろ朝ごはんにしようか』

「うん、する！」

にこにこ笑顔のAちゃんといつもより低い位置で手を繋いで、リビングに向かった。

『俺あんま料理得意じゃないけど、何か食べたいものある？』

「んー、パン！」

『パン？じゃあトーストでいいかな、ちょっと待っててね』

Aちゃんをソファに座らせて、急いで朝食の準備をした。トースターに食パンを並べてコーヒーとココアを淹れた。

『Aちゃんおまたせ、できたよ』

「ありがとう！たべる！」

トテトテ走ってきてダイニングテーブルの椅子によじ登ろうとするAちゃん。
今のAちゃんにはちょっと高いよね…

『Aちゃん、俺が座らせてあげるよ？よいしょっと』

持ち上げたAちゃんは驚くほど軽くて、片腕でも抱っこできるぐらいだった。

「わぁ〜たかい！ひょーじゅんさんもっと！！」

『えぇ？ご飯食べてからね笑』

ほっぺをぷくーっと膨らませるAちゃんを座らせて、一緒に朝ごはんを食べた。

「ごちそうさまでした！」

『ご馳走様〜』

「ひょーじゅんさん、もっかいだっこ！」

椅子から降りて俺の足元まで駆け寄ってきた。
どうしようほんとに可愛すぎて困る、娘ができた気分だ。

『ちょっと待ってね、食器片付けてくるから』

2人分の食器をシンクに置いて、リビングに戻った。
俺が戻るや否や、キラキラの笑顔で俺を見ていた。俺はもうダメかもしれない。

『よし、Aちゃんおいで！』

「やったぁ〜！！」

飛びついてきたAちゃんを抱き上げた。
あまりにも嬉しそうに笑うので、俺も嬉しくなってきた