2 ページ10
「あ、先生、おかずって何入れたら…」
声をかけた瞬間、ドアが開く音がした。
嗚呼、またいつもの人達だ。
「ねぇ先生ー!聞いてよ!」
何回折ったのだろうか、太ももが見えるほどの短いスカートに、赤い唇、長い睫毛。いかにもクラスで上位にいそうな雰囲気の、1つ上の学年の女子が3人、保健室にズカズカと入ってきた。
「おや、どうしたんだい」
パソコンに向かったまま先生は返事をした。
「数学の_先生さぁ__で、めっちゃ腹立つんだけど!」
「そんとそれ。くそだるいし」
「話も長いし意味わからーん」
彼女達は森先生に教師への愚痴をこぼしていた。先生は時々ははと笑ったり、困ったりと表情を変えながら話を聞いていた。
森先生とAの交際は勿論秘密だ。表面上は『教師と生徒』のため、見抜かれないよう行動しなければならない。頭では分かっている。
しかし、彼女達が来なければ先生と二人きりだったのに、どうしていつも邪魔をするの、と醜い嫉妬心が脳裏をよぎる。
横目で森先生の顔を見ると、腑抜けた顔をしていた。
このまま保健室に留まるのは正気になれないと思い、Aは立ち上がって入口へ向かった。
「あ、ちょっと待って。」
森先生に呼び止められたため振り向くと、Aの方に向かって来た。
「担任に渡して欲しいんだ。」
渡されたのは1枚のメモだった。
『掃除が終わったら保健室においで』
森先生の顔を見上げると、人差し指を口に当てて、秘密、というポーズをした。3人の女子達に背を向けているので、見えることは無い。
Aは頷き、失礼しました、と保健室を去った。
保健室の外で、折っていたスカートを元の長さに戻した。
105人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あとり(プロフ) - さらささん» ありがとうございます;;ちょっぴり苦いお話にしちゃってすみません;私の確認不足でした… あああ本当ですか!嬉しいです……!!これからも精進して参ります! (2019年12月15日 19時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
さらさ - すてきな話をありがとうございます 森さんも夢主ちゃんもお互いに想いあっているみたいだけど色んな思いが交差してもう一歩踏み出せない感じですね リアル感があってとてもいいです いやあ 作者様の文才がうらやましいです これからも無理のない様に頑張って下さい (2019年12月13日 15時) (レス) id: a0220cc930 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 白しらすさん» ありがとうございます!!とても嬉しいです…! (2019年10月26日 17時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
白しらす(プロフ) - ( ゚∀゚):∵グハッ!!かわいい...かわいいぞここの森さん!!!!!好き!!!!!! (2019年10月25日 1時) (レス) id: 71d6bb7d16 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 凛さん» ああああありがとうございます;;上手くかけてるかとても心配だったので嬉しいです;;こちらこそリクエストありがとうございました! (2019年10月18日 21時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あとり | 作成日時:2019年6月16日 23時