検索窓
今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:35,371 hit

お気に召すまま、 ページ7

「あぁ、やはりその口紅を選んで正解だったよ。よく似合っている。」

Aの唇にそっと触れた。
優しい手つきだったが、目は餌に飢えた野獣のようでありながら情熱を帯びた熱い眼差し。全身が熱をもって、溶けてしまいそうだ。
逃げるように目をそらすと、鴎外はAの顎をくいと軽く引いた。必然的に目が合う。なんて恥ずかしいのだろう。本当に溶けてしまいそうだ。
このまま、だと、

「…食べちゃうん…ですか」

刹那、頭が真っ白になった。
引かれてしまうのではないかと、自意識過剰なのではと、恥ずかしくなり目を瞑った。鴎外の表情を見る余裕もAにはなかった。

「…食べていいのかい?」

耳元で囁いたその声は体を少し跳ね上げさせた。
鴎外はAの返事を待っている。Aはただ黙っている。
待てない鴎外はすっかり紅潮し蕩けた表情のAを見つめた。

「無言は肯定とするが、構わないかね?」

鴎外は恍惚とした笑みを浮かべ、それを見たAは手を伸ばした。

_口紅、落ちてしまいますよ。

鴎外は、Aの表情、声にぞくりとするほど艶やかしく感じた。




_____
作者
Twitterにあげたものをアレンジしました

午前10時の珍事→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (59 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
105人がお気に入り
設定タグ:森鴎外 , 文スト , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あとり(プロフ) - さらささん» ありがとうございます;;ちょっぴり苦いお話にしちゃってすみません;私の確認不足でした… あああ本当ですか!嬉しいです……!!これからも精進して参ります! (2019年12月15日 19時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
さらさ - すてきな話をありがとうございます 森さんも夢主ちゃんもお互いに想いあっているみたいだけど色んな思いが交差してもう一歩踏み出せない感じですね リアル感があってとてもいいです いやあ 作者様の文才がうらやましいです これからも無理のない様に頑張って下さい (2019年12月13日 15時) (レス) id: a0220cc930 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 白しらすさん» ありがとうございます!!とても嬉しいです…! (2019年10月26日 17時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
白しらす(プロフ) - ( ゚∀゚):∵グハッ!!かわいい...かわいいぞここの森さん!!!!!好き!!!!!! (2019年10月25日 1時) (レス) id: 71d6bb7d16 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 凛さん» ああああありがとうございます;;上手くかけてるかとても心配だったので嬉しいです;;こちらこそリクエストありがとうございました! (2019年10月18日 21時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あとり | 作成日時:2019年6月16日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。