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「あの、森さん」

Aの白い肌に桜が咲いたように、頬が色づき始めた。その様子を鴎外が捉えないわけがなかった。

「なんだい、A」

興味深そうにAの瞳を覗かれたが、鴎外の愛しそうな瞳に耐えきれず逸らしてしまった。

「…その、先日読んだ記事に興味深いものがありまして。」

ほう、と鴎外が相槌を打つ。
Aは鴎外に近寄り、彼の胸に頬を寄せる。細い腕は鴎外の背中を包みきれなかった。

「こっ、このように抱擁すると疲れがとれるらしいのです…」

胸の音が聞こえてしまう、という緊張で声が震えていた。
鴎外は静かに

「可愛いことをしてくれるじゃないか。」

とAの体を包みこんだ。
くすぐったい気持ちになったが、腕の力を少し強めた。

「だが、抱擁することで減るのは疲れではなくストレスなんだがね。」

顔を上げるとほくそ笑んでいる鴎外の顔があった。
Aはえ、と数秒ほどぽかんとした。

「そ、そうなんですか?!」

思わず大声を出してしまった。恥ずかしさのあまり鴎外の腕から逃げようとするも逃げられず、また抱きしめられた。

「おかげで疲れがとれたよ。本当に君の行動は癒される」

ふふ、と大人の余裕がある表情をしている。

「もう少し、このままでいいかな。」

「…はい。」

広い執務室には、2人の影だけが残っていた。

朱→←癒しましょう_1



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設定タグ:森鴎外 , 文スト , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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あとり(プロフ) - さらささん» ありがとうございます;;ちょっぴり苦いお話にしちゃってすみません;私の確認不足でした… あああ本当ですか!嬉しいです……!!これからも精進して参ります! (2019年12月15日 19時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
さらさ - すてきな話をありがとうございます 森さんも夢主ちゃんもお互いに想いあっているみたいだけど色んな思いが交差してもう一歩踏み出せない感じですね リアル感があってとてもいいです いやあ 作者様の文才がうらやましいです これからも無理のない様に頑張って下さい (2019年12月13日 15時) (レス) id: a0220cc930 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 白しらすさん» ありがとうございます!!とても嬉しいです…! (2019年10月26日 17時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
白しらす(プロフ) - ( ゚∀゚):∵グハッ!!かわいい...かわいいぞここの森さん!!!!!好き!!!!!! (2019年10月25日 1時) (レス) id: 71d6bb7d16 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 凛さん» ああああありがとうございます;;上手くかけてるかとても心配だったので嬉しいです;;こちらこそリクエストありがとうございました! (2019年10月18日 21時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あとり | 作成日時:2019年6月16日 23時

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