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記憶が残るタイプ ページ13

「おやおや、これは……」

「あれぇ、どうしたんれふかぁ?」

赤い顔に回っていない呂律。完全に酔っている。
Aが酒に酔っている所を鴎外は初めて見た。勧めても私はあまり飲まないんです、と断られた過去があるのだが。Aは枕を抱きしめながらゆらゆら揺れている。眠いのだろうか。近くの机には小瓶の日本酒があった。恐らく紅葉辺りから貰ったのだろう。しかし、中身は余り減っていないように思える。

「A、何杯飲んだんだい?」

「んー…2はい…」

酒に強くないようだ。2杯でここまで酔うとは、相当弱いらしい。

「そろそろ帰ろう、私が送るから。Aが仕事部屋で飲むなんて珍しいね」

Aの肩をトントンと叩く。枕を抱きしめたまま離さず、ふるふると頭を横に振る。ここに泊まるのだろうか。

「…ちゅーしてくれたら帰ります」

むぅ、と頬を膨らませる。そんな表情をするAを鴎外は見たことがなかったため、ときめいてしまった。

「お姫様の仰せの通りに」

鴎外はAに軽く口付けをした。それでも不服そうだ。

「もっと」

外れた敬語に、上目遣いで強請る姿が可愛くて、深い口付けをした。少し酒の匂いがするが、不快なものではなかった。
はぁ、と唇が離れた時に息が漏れた。Aの若さの中にある艶かしさに、鴎外の理性は切れそうだった。しかし、このまま理性に流されてしまうのは良くない。ここは我慢をしなければ_。

「まだ、続き、して」

飢えた子猫のような蕩けた瞳。
_悪いのは君だ。
ネクタイに手をかけ解こうとしたその時、Aが鴎外に身体を預けてきた。規則正しい寝息が聞こえてくる。
鴎外は大きな溜息をついた。

「全く。」

Aの寝顔は、起きている時と変わらず可愛らしいままだ。酒のせいで体も熱く感じる。鴎外はAを抱え、部屋を出た。




次の日、Aは朝の報告以外仕事部屋から顔を出さなかった。鴎外が仕事部屋に行くも、

「森さんの顔が見られないのでここから出ません!」

とドア越しに叫ぶばかりであった。

夏風邪*→←後日



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設定タグ:森鴎外 , 文スト , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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あとり(プロフ) - さらささん» ありがとうございます;;ちょっぴり苦いお話にしちゃってすみません;私の確認不足でした… あああ本当ですか!嬉しいです……!!これからも精進して参ります! (2019年12月15日 19時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
さらさ - すてきな話をありがとうございます 森さんも夢主ちゃんもお互いに想いあっているみたいだけど色んな思いが交差してもう一歩踏み出せない感じですね リアル感があってとてもいいです いやあ 作者様の文才がうらやましいです これからも無理のない様に頑張って下さい (2019年12月13日 15時) (レス) id: a0220cc930 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 白しらすさん» ありがとうございます!!とても嬉しいです…! (2019年10月26日 17時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)
白しらす(プロフ) - ( ゚∀゚):∵グハッ!!かわいい...かわいいぞここの森さん!!!!!好き!!!!!! (2019年10月25日 1時) (レス) id: 71d6bb7d16 (このIDを非表示/違反報告)
あとり(プロフ) - 凛さん» ああああありがとうございます;;上手くかけてるかとても心配だったので嬉しいです;;こちらこそリクエストありがとうございました! (2019年10月18日 21時) (レス) id: e8ffd9f451 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あとり | 作成日時:2019年6月16日 23時

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