最凶の魔法使い

第21話 ページ24

第一幕は、昼食時の食堂だった。
専門課程の見学を早めに切り上げて食堂に来た名前たち五人は、それほど苦労することもなく六人掛けのテーブルを確保した。

半分ほど食べ終わった頃(レオはもう食べ終えていた)、男女両方のクラスメイトに囲まれて食堂に到着した深雪が、
二人を見つけて急ぎ足で寄ってきた。

そこで一悶着あった。

深雪にとって最優先すべき相手は名前と達也だった。
このテーブルに座れるのはあと一人。
クラスメイトと名前達とどっちを選ぶか、深雪は考えることすらしなかった。

しかし、深雪のクラスメイト、特に男子生徒は当然、彼女と相席を狙っていた。
身勝手で傲慢な一科生の言い草にレオとエリカは爆発しかけていた。

名前達は急いで食べ終わると、
レオに声を掛けまだ食べているエリカと美月に断りをいれて席を立った。

深雪は名前達五人に目で謝罪して、片側が空いたテーブルには座らず、
二人と逆方向へ歩み去った。


第二幕は午後の専門課程見学中の出来事だった。

通称「射撃場」と呼ばれる遠隔魔法用実習室では、3年A組の実技が行われていた。
生徒会長、七草真由美の所属するクラスだ。
生徒会長は必ずしも成績で選ばれるものではないが、
今期の生徒会長は遠隔精密魔法ね分野で十年に一人の英才と呼ばれ、
それを裏付けるように数多くのトロフィーを第一高校にもたらしていた。

彼女の実技を見ようと、
大勢の新人生が射撃場に詰め掛けたが、見学できる人数は限られている。
こうなると、一科生に遠慮してしまう二科生が多い中で、
名前たちは堂々と最前列に陣取ったのだった。

当然のように、悪目立ちした。


そして第三幕。

昼休みに食堂にいた面子と、放課後、
深雪が誰と帰るか、
という内容だったらしい。

そして、森崎という一科生徒が魔法を行使しようとしたらしい。
幸い、それはエリカが止めたらしいが。
しかしそのすぐ後、森崎の背後にいた女子生徒が腕輪形状の汎用型CADへ指を走らせた。

魔法師からCADへ、そしてCADから魔法師へ。
このサイオンの流れを妨害されると、
CADを用いた魔法は機能しなくなる。

例えば、展開中あるいは読み込み中の起動式に外部からサイオンの塊を撃ち込まれると、
起動式を形成するサイオンのパターンが撹乱され、効力のある魔法式が構築されず、
魔法は未発のまま、霧散する。

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