最凶の魔法使い

第12話 ページ15

深雪「はじめまして、柴田さん、千葉さん。
司波深雪です。
私も新入生ですので、お兄様、お姉様同様、
よろしくお願いしますね」

美月「柴田美月です。
こちらこそよろしくお願いします」

エリカ「よろしく。
あたしのことはエリカでいいわ。
貴女のことも深雪って呼ばせてもらっていい？」

深雪「ええ、どうぞ。
苗字では、お兄様やお姉様と区別がつきにくいですもね」

三人の少女が、改めて自己紹介を交わした。
深雪と美月の挨拶は初対面としては妥当なもの。
だがエリカは最初から随分と(よく言えば)フレンドリーだった。

エリカ「あはっ、深雪って見掛けによらず、
実は気さくな人？

深雪「貴女は見た目通りの、開放的な性格なのね。
よろしく、エリカ。」

すっかり打ち解けた笑みを交わす深雪とエリカ。
置いてけぼりの感を自覚せずにはいられない名前と達也だったが、
このまま突っ立っているわけにもいかない。

妹についてきた生徒会の一行が一緒だったから邪魔者扱いされることはないが、
いつまでもこうしていては、通行の邪魔だった。

達也「深雪。
生徒会の方々の用は済んだのか？」

名前「まだだったら、適当に時間を潰して待ってるわよ？」

真由美「大丈夫ですよ」

名前と達也の質問と提案に対する応えは、
異なる相手から返らせた。

真由美「今日はご挨拶させていただいただけですから。深雪さん……と、
私も呼ばせてもらってもいいかしら？

深雪「あっ、はい。」

真由美に話し掛けられ、深雪は打ち解けた笑みを神妙な表情に替えて頷いた。

真由美「では深雪さん、詳しいお話はまた、
日を改めて」

真由美は笑顔で軽く会釈して、そのまま行動を出て行こうとした。
が、すぐ後ろに控えていた男子生徒が真由美を呼び止めた。
その胸には当然の如く咲き誇る、八枚花弁のエンブレム。

男子生徒「しかし会長、それでは予定が……」

真由美「予めお約束していたものではありませんから。
別に予定があるなら、そちらを優先すべきでしょう？」

なおも食い下がる男子生徒を目で制して、
真由美は深雪に、そして名前と達也に、
意味有りげな微笑みを向けた。

真由美「それでは深雪さん、今日はこれで。
司波くん、名前さんもいずれまた、ゆっくりと」

再度会釈して立ち去る真由美。
その背後に続く男子生徒が振り返り、舌打ちが聞こえてきそうな表情で名前と達也(主に達也)
を睨んだ。

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