幸せと彼女の距離【ディセンダント】 (ページ2)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:4,058 hit

昔のこと｡ページ2

オラドンに招待された4人をみつめているのは...

Aだった｡
ただひたすらに､その4人の顔つきを伺っていた｡

『......』

(みんな､私のことを置いていく｡)
虚ろな目で四人を見つめながら彼女はそんなことを思っていた｡

｢A〜?｣
『!...なぁに?兄さん』

彼女は後ろにいた兄・ギルになど気づかなかったようだ｡
『あ､ウーマ姉さんのとこ行くの?私も連れてって!』

彼女はちっぽけな頭の中で思い出した｡
昔のことを｡

いつも置いてけぼりにされていたことを｡
その分､父・ガストンに狩りを教えてもらったことを｡

ひどく兄を嫌ったことを｡

そして､見返してやろうと考えたのを｡

自分が幼い時から､そんな醜いことを
考えていたなんて､そう簡単には信じられない｡
けど、彼女は信じられた｡
だって、自分自身のことだから｡

｢嗚呼､そうだ､行こう!｣
思いついたようにそう言った｡

『手､つなご?』
｢嗚呼､勿論｣
『...ねえ､兄さんの幸せってなあに?』
｢え?んー､今まで考えたことなかったよ｣
それ以降会話はなかった｡

彼女はただひたすらに､
幸せとは何か､そう考えていた｡