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どれ位経っただろう。目を覚ますと見える景色が何故か縦になっている。
「あ、A。起きたのか」
『炭治郎…?』
「おはよう。…普段寝ているのか?俺は心配だ」
ツ、と私の目の下を親指でなぞる。
炭治郎の顔が上にある。ガバッと起きると、炭治郎のおでことゴッツンした。
『いった!石頭炭治郎!!』
「うわわ、すまない!大丈夫か?」
『待って、なんで!?』
「ん?」
『肩じゃなくて膝を借りたの!?ごめん、重かったでしょ』
「ああ、カナヲが「こっちの方が楽だと思う」って体制を変えてくれたんだ。重くはなかったぞ!ちゃんと食べているのか心配になる位には!」
…カナヲに見られたのか。後で謝らないと。
それにしてもどれ位眠っていたのだろう。さっき迄青かった空が、もう夕暮れになっている。
『…凄い寝てたね。ごめんね』
「いや?大丈夫だぞ。よく眠れたか?」
『うん。お陰様で』
「それは良かった」
『カナヲに謝らないとなぁ…』
「?如何してだ?喧嘩でもしたのか」
『んー?色々あるの』
「そうか?」
『そうなの。…っと。そろそろ帰らないとね』
「帰るって、これから夜になるぞ?しのぶさんに言って、今日は泊まれば…」
『帰らないと、心配かけちゃうし』
「でも…」
夜は鬼が出る。
きっと彼は、彼なりに私の心配をしてくれたのだろう。
でも私だって鬼殺隊。心配をかけられる程弱くは無い。
『竈門君。癸の君が乙の私の心配はしなくていいのよ。君の方こそ休暇中なんだからキッチリ身体休めないと』
「…はい」
『…心配してくれてありがとう。でも大丈夫だから』
よいしょと、帰り支度を済ます。
『それじゃ、しのぶさんに宜しく』
「…あの」
『んー?』
「また稽古、付けてもらっていいですか」
『ん、いいよ。時間空いた時にまた来るよ』
「本当か!ありがとう!」
敬語が外れ、雰囲気が明るくなった炭治郎にクスリと笑みがこぼれる。
『じゃ、またね炭治郎。伊之助と善逸にもよろしく』
「ああ!…あ、A」
『どうしたの』
「眠たくなったら俺の肩、貸すから。特別」
『あら、いいの?その特別が「私」で』
「?ああ!Aは家族みたいだからな!特別だ」
「特別」。その言葉に一瞬胸が踊ったが
「家族みたいだから」。
嬉しい様な悲しい様な。よく分からない感情が渦巻いた。
何処かで時計の針と鐘の音がした。
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りあむ(プロフ) - 続き待ってます、、、、、、、! (2021年10月12日 20時) (レス) @page37 id: 5dcfb8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - ド派手に頭突きしたのか煉獄の旦那に!ド派手に凄いな! (2021年4月8日 17時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
義勇推しさん - どうも!コメントありがとございます!蜜璃ちゃんかわいい!キュンキュンするわ!更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2021年2月10日 17時) (レス) id: 11d230a7dd (このIDを非表示/違反報告)
桜餅さん(プロフ) - 義勇推しさんさん» 初めまして〜!読んでくれてありがとうございます。これから炭治郎もっと出す予定なので楽しみに待っていてください…! (2021年2月10日 9時) (レス) id: 6fc48f12f5 (このIDを非表示/違反報告)
義勇推しさん - 初めまして!炭治郎も好きなのでこの小説楽しく読ませてもらってます!これからも頑張ってください! (2021年2月9日 19時) (レス) id: 11d230a7dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜餅さん | 作成日時:2021年1月4日 0時