亡命客8 ページ10
*
ただ今いるのは出版社。担当さんと話している真っ最中。
｢へー、結構書けてるね。｣
｢ネタは山のようにありますから！私、書こうと思えば十巻まで書ける気がします。｣
｢ほへー、本当に大変だったんだね。｣
担当さんはそんな軽い会話をしながらペラペラと原稿を読み進め、添削していく。この人は私のそのままの文章が好きらしいから、あんまり直すことは無いのだけど。
｢うん、これで来月雑誌に載せる分はOKだね。｣
私と担当さんは、一段落したので、ふぅと軽く息をつく。
実は、本の売上がそこそこ良かったので、雑誌のページをもらうことが出来た。今回はそこへ載せる原稿を持ってきたのだ。それももちろん、次の巻に載せる予定。
｢いやぁ、Aさんはスムーズに進んで、本当にありがたいです。｣
｢いえいえ、そんな………………。｣
｢いや、私、もう1人受け持ってるんですけど、そっちは全然納期守らなくて、ほんっと手を焼いてるんですよ………………。って、この話は今はいいか。｣
苦笑いを浮かべる担当さん。こういう場合は、やっぱり相談にのったげるのが一番だろう。私は、そう考え、担当さんに一つ提案をした。
｢じゃあ、今度飲みに行きましょう。愚痴なら私、付き合いますよ。｣
グビッとビールを飲むような手振りをすれば、彼女はぱぁっと表情を変えた。嬉々とした表情で私の手を取り、ぶんぶんと振る。
｢それなら是非今度お願いします。｣
｢えぇ、もちろんですよ！｣
彼女との関係は良好で、よく飲みにも行く。何だか、友達みたいでありがたい。
その後も次の雑誌の分や、続編の打ち合わせをしていたのだが、遠くから慌ただしい足音が聞こえてきた。スキャンダルやら事件やらを担当している人が新ネタ来たのかなぁ、なんて思っていたが、私達の部屋の前で足音が止み、勢いよく扉が開いた。
｢あぁ、良かった、ここにいたか！｣
｢え、編集長？いかがなさったんですか？｣
そこにいたのは、私が載せている雑誌の編集長。その顔は何故か青白く見え、少し嫌な予感がする。
｢いや、実はな………………。政府のお偉いさんから電話が来てだな、その、書籍を拝読し、感銘を受けたので、マクライアンさんに是非お会いたい、と………………。｣
｢………………へ！？｣
頭の中が真っ白になって、私には何が何だか、まったくわからなかった。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1056人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れもんあめ(プロフ) - 果奈さん» え...。語彙力めちゃめちゃあるじゃないですか!! (2019年4月14日 17時) (
レス) id: 2dbd7ef2a2 (このIDを非表示/違反報告)
るーか(プロフ) - 果奈さん» はい！完成したら、お知らせします！ (2019年4月14日 11時) (レス) id: 22a10a6505 (このIDを非表示/違反報告)
果奈(プロフ) - れもんあめさん» 語彙力が無いので、そう言っていただけて有難いです。これからもよろしくお願いします！ (2019年4月13日 21時) (レス) id: a4d3edf1aa (このIDを非表示/違反報告)
果奈(プロフ) - るーかさん» 是非ともお願いしたいです！！！楽しみにしてますね！ (2019年4月13日 21時) (レス) id: a4d3edf1aa (このIDを非表示/違反報告)
るーか(プロフ) - あの、夢主ちゃんの絵を描いてもよろしいでしょうか？いきなりですみません (2019年4月11日 1時) (レス) id: 22a10a6505 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：果奈 | 作成日時：2018年1月22日 13時
