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「…………」
少年の瞳が少しだけ開いた。
「……嘘ですよね?」
嘘。少年は、その一言がどれだけ女性にとって酷な言葉なのかわかっていた。でも、女性の口からその一言が出てくるのを願いたかったのだ。
「…………本当よ」
ふわり。
女性は、美しく笑った。
「…………なんで、貴女はそんなに美しく笑うんですか」
「……」
「………………桜が散る頃って……、もうすぐじゃないですか。……うそ、なんでしょう?だって、貴女は今ここにいて、こんなに元気じゃないですか」
「……そうね。でも、お医者さまに言われたから本当よ。私は弟と同じ不治の病にかかったの」
「っ、」
「今は普通に見えるでしょうけど、黒い悪魔が私の体を蝕んでいるの。時が来たら、急にぱったりと逝くでしょうね。弟がそうだったから」
少年はギリリと歯を食いしばる。
「なん、で!!!貴女はそんなに冷静なんですか!!死を受け入れてるんですか!!!!」
「……」
「貴女はまだ若いですし、やりたいことだって沢山あるでしょう!?もっと命に貪欲になってくださいよ!!!!」
「……っ、」
そこで初めて、女性が声を荒げた。
「うるさい!!!!!」
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偉人 - この占ツクにこんな素敵な文章を書く方がいらっしゃるなんて…この作品に出会えてよかったです。 (2020年9月5日 16時) (レス) id: 071f62e8cb (このIDを非表示/違反報告)
メビウス(プロフ) - なつかさん» コメントありがとうございます!!そう言っていただいて本当に嬉しいです!!今作品も最後まで好きって言って貰えるように頑張ります!! (2019年3月25日 20時) (レス) id: 75ad7ad27c (このIDを非表示/違反報告)
なつか - 前の作品もこの作品もすごく好きです!頑張って下さい! (2019年3月24日 18時) (レス) id: d7e54bb1e1 (このIDを非表示/違反報告)
メビウス(プロフ) - 世理さん» コメントありがとうございます!!「新作」って言ってくださるってことは、過去の作品を見てくださっているんですね!凄く嬉しいです(∩´∀`∩)ワーイ!頑張りますのでよろしくお願いします! (2019年3月21日 0時) (レス) id: 75ad7ad27c (このIDを非表示/違反報告)
メビウス(プロフ) - 寧々さん» コメントありがとうございます!!これから亀更新になるかもですが、暖かく見守ってください笑 (2019年3月21日 0時) (レス) id: 75ad7ad27c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メビウス | 作成日時:2019年3月20日 1時