生け捕りにしろ！【rntn】 (ページ7)

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｢はあ、コンビニ行こ｣

なんとなく小腹が空いた。
お手軽なフェミチキでも買おうと入店音を鳴らす。

｢いらっしゃいませー｣
｢フェミチキください｣
｢毎度ありがとうね～。はい｣
｢ありがとうございます｣

まるで用意されていたかのようにぱっとそれを渡された。それは私がこの店の常連であり、当たり前のようにそれを買うからだ。
小銭を置き、チキンが入った袋を受け取る。

｢部活帰り？｣
｢クリーニング屋帰りです｣
｢へえ、珍しいね｣
｢眠いんで帰ります、ありがとうございます｣

また来てね、とその人はひらひらと手を振る。

相変わらず軽いなあと一言思いながら、テープで止められたパッケージを開ける。僅かに出る湯気が、より一層食欲を煽った。
がぶりと肉に噛み付くと肉汁が出て口内が熱くなった。
普段は猫舌だが、やはり空腹には勝てない。
店の入口の横で立ち止まって食べていたら、男性の笑い声が聞こえてきた。
最近聞いたことのあるような、それもテレビとかではなく、
_____なんとなく、嫌な予感はした。

｢なに女子高生が肉にかぶりついてんの、どんだけ腹減ってんだよ｣

特徴的な声で笑う彼は、まさにクリーニングに出したズボンの持ち主であった。
しかし今の時間帯は5時過ぎであり、本来ならば残業している筈だが_____彼はそれ程社畜ではないらしい。

｢いや全部聞こえてるわ、社畜だわ｣
｢ごめんなさい...めちゃくちゃお腹空いてて｣
｢関係ないでしょそれ｣

珍しくよく笑う彼に驚いていた。
元々数回しか会ったことがない上に、見たことがあるといっても苦笑い位で、
ちゃんとした笑顔は見たことがなかった。
大人びたスーツとは似合わない幼い顔立ちにどくんと心臓が波打つ。

｢......なに、どうしたの？放心状態だけど｣
｢えっ、あ、なんでも...。てか、コンビニ入らなくていいんですか？｣
｢あ、そうだった。.........今から帰んの？｣
｢そうですけど｣
｢待ってて。送ってく｣

そう言うと、彼は足早にコンビニに入店した。
大人の男性は近所の女子高生を見送りしなければならないのか、大変だなと他人事のように思う。
食べきってゴミだけになってしまった紙を燃えるゴミのスペースに捨てて入口付近に立っていると、慣れない煙草の匂いが漂っていた。