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少し高いところにあるこの公園の
ブランコをこぐと街が見おろせるんだ。
同じクラスなはずの彼女がそんなことを言った。
「ねぇ、なんで学校来ないん?」
おれはアホだから疑問に思ったらすぐ口に出しちゃうんだ
彼女は夕焼けに染まるその瞳に少しだけ、涙を貯めて、クスッと笑う。
「よわいから」
よわいから、たしかに彼女はそう言った。
あぁそっか、彼女は体が弱いんだ。
そう思った。
「病院行かなくてええの?」
「なんで?」
「体弱いんやろ?」
「ふふ、違うよ、君にはわからないかな...」
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わたし、強くなりたいんだ
彼女はブランコに立ち、沈んでいく夕日を見た。
その横顔はとても綺麗で、彼女の頬を流れる透明なはずの涙は、オレンジに染っていて。
宝石のように輝いてた。
” 彼女は遠くに行っちゃう ”
不意にそんな不安が押し寄せてきて、潰れそうになる。
やだ、やだよやめて。やめてよ
気づいたら彼女の手を握ってた
「ねぇ」
「なに?どうしたの?」
「お願いだからどこにも行かないで...」
「え??」
「おれっ、おれから...っ...離れないで」
ふふ、君は優しいんだね
そう言って彼女は初めて俺の顔を見た。
目と目が合って、時間が止まる、
周りの音もカラスの声も何も聞こえなくなるような、そんな錯覚を起こす。
明日もここで会おうね。
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作者名:ちゃちゃ子 | 作成日時:2018年12月9日 17時