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Cloudy ページ21
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ピ、ピ、ピ
規則正しく流れる電子音
ガラス越しに見える橙子さんの顔はいつもより白く
まるで毒林檎を食べて眠る白雪姫のようだった
「と、うこちゃん。」
私の手には看護師さんから渡されたカメラがある
息も絶え絶えになった橙子ちゃんが、
私が帰ってきたら渡してくれと忍田さんに預けていたらしい
カメラを起動してレンズを覗く
レンズを通して見る橙子ちゃんはやっぱり綺麗で
思わずシャッターを切った
「起こしにきてよ・・・。
お姫様を起こすのは王子様の仕事でしょ。」
耳にある冷たい物質はこんなときも嫌味に綺麗に黒光る
私は重要なときいつも戦局を動かす位置にいない
大切な人はいつも私が来たときには動かなくなっている
「ダメだ・・・。
私、大切なものひとつ自分の手で守れない。」
手の中にあるカメラの質量が急に増した気がする
綺麗に色づいていた世界が急に色を落とした気がする
あんなに晴れていた空は本当に青色なのだろうか
私には曇っているように見えた
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作者名:名もなきもの | 作成日時:2021年2月22日 7時