めらちゃん先輩【ワールドトリガー】 (ページ13)

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「そこからはあんまり覚えてないの。

たぶん記憶をいじられてる。」

「記憶を？」

「よくある話だよ。

ボーダーだって警戒区域に誤って入ってしまった一般人の記憶を消したりしてるし。」

非現実的なようで、現実的

門(ゲート)を通って玄界(こっち)側に来た遊真や、

友だちが近界民に拐われた千佳には、

言い方は可笑しいが馴染みのある話だった

しかし、遊真はAの話に違和感を覚えた

嘘を吐いている様子はない

だが聞いた話のどこかが変なように思えた

「ちかちゃんも友だちが拐われたんでしょ。」

「はい･･･。」

「でもごめんね。

私は役に立ちそうなことはなんにも覚えてないの。」

「い、いえ！！

先輩が無事に帰ってこれて良かったです。」

「無事、ね。」

ぽつり、

ちいさく呟いたその言葉に遊真と千佳は首を傾げた

「なにかあったんですか？」

「あ、ううん。

全然無事に帰ってこれたよ。」

ほら、もう寒いから中に入りな！

変に話を終わらせたAに、

遊真だけでなく千佳も違和感を覚えた

「どう思う？」

「どう思うって？」

ふたりで建物の中に入ると、遊真は千佳に問いかけた

「さっきのめらちゃん先輩の話。」

「わからない。

でも、嘘はついてなかったんだよね？」

「嘘はね。

でも、めらちゃん先輩はまだなにか隠してる。」

それは確信

理由も根拠もない

ただの勘が告げる確信

「わからないことがわかる、か。」

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