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季節が巡るのは早い。
クリスマスプレゼントにもらったマフラーを首に巻きつけて家を出たAは、
寂しく枯れた木々を見て白い息を吐いた。
一年で一番長いといわれている二学期もあっという間に終わり、冬休みを迎えたAは今日も朝から本部に向かった。
家を出てしばらく歩くと、目の前に一人の男の子が立っていた。
右を見て、
左を見て、
また右を見る。
その子の様子から迷子だということは容易に想像がついた。
年齢は自分と変わらないか年下のようだ。
声をかけてあげるべきなのか、
でもそんなこと自分にはできない。
心の中でごめんなさい、と呟いたAは急ぎ足でその場を通り過ぎた。
はずだった、
「なぁ、」
「は、はい!?」
突然声を掛けられたのだ。
「玉狛支部の場所知ってる?」
「た、まこま?」
いつも同じスナック菓子を片手に笑っているとある人物を連想した。
「し、ってます、けど、」
「もしよかったら連れて行ってもらえないでしょーか?」
「・・・。」
Aはぐるぐる、と脳を回転させる。
全然知らない人と二人で歩くのはAにとってハードルが高すぎる。
かと言って、困っているこの子を放っていくのは人間としてダメだと思う。
「無理なら別に、」
「むり、じゃないです。」
「・・・!」
断られると思っていた少年は目を大きく見開いた。
「じゃあ、よろしく。
俺はゆーま、空閑遊真。」
「真谷Aです。」
よろしく、Aと笑った遊真にAも淡く笑った。
「Aはもっと笑った方がいい。」
「そ、そうかな。」
「あぁ、そっちの方がカワイイ。」
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作者名:名も無き者 | 作成日時:2021年2月7日 23時