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数時間前の予定では私はもう既に家についてお風呂に浸かっているはずだった。
そう、" はず "だったのに。
真っ暗な空間で私のパソコンの明かりだけが浮かび上がっている。
事件はミーティングの終盤で起こった。
「おい、この資料作ったの誰だ?」
部長の低い声が会議室に響きその場に緊張が走る。
「佐野さんです。」
部長の手には私の資料の横に置いてあった資料
一瞬私が作ったものかと思いドキッとした。
「これ、今回の議題と全然違うじゃないか。
それにこれは前回のやつのコピーだな。」
「す、すいません!!」
佐野さんは私より1年先にこの会社に入社した。
でも大学は4年制ではなく短大卒なので私よりも年下だ。
先輩曰くまだ学生気分の抜けないお子ちゃまらしく仕事でも凡ミスが多いらしい。
でも可愛らしい容姿とその抜けてる感が男性社員からの人気は高い。
ミーティングは部長の怒号で幕を閉じた。
結局佐野さんの資料は作り直して明日提出というオチになった。
どっと降りかかった疲れに目眩が増した気がしたけど、ここで手を抜けばせっかくの定時上がりがなくなってしまう。
パソコンのスリープモードを解除し、今日のミーティングの議事録を作る。
そして待ちに待った定時のチャイムが鳴った。
パソコンの電源を落とし、立ち上がったときだった。
「あのぅ、」
「はい?」
「助けてください!柊木さんんんんん!!!」
号泣している佐野さんに泣きつかれた。
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Shuka(プロフ) - また次回作も楽しみにしています! (2021年1月18日 7時) (レス) id: e262deccef (このIDを非表示/違反報告)
Shuka(プロフ) - こんにちは。内容、文章の作り方、クロの話し方、主人公の気持ちの書き方等見ていて全て好みでこんなに作品にのめり込める短編は無いなと思うくらいでした。普段長編の方が好きで短編は全く読まないし推しは研磨ですが何故か惹かれ呼んだら素敵な作者様に出会えました。 (2021年1月18日 7時) (レス) id: e262deccef (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜色(プロフ) - 面白そうです。頑張ってください! (2021年1月17日 9時) (レス) id: de5cad5b88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名も無き者 | 作成日時:2021年1月17日 8時