脣星落落【降谷零】 (ページ12)

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*side zero

「安室さん、安室Aさんのこと、本当に知らないの？

なにも思わないの？なにも感じないの？
どこにも違和感を抱かないの？」

縋るような声だった。

「俺は、知らないって言ってほしいし、本当に他人であってほしいと思うよ。

だって、安室さんはAさんが探していても、会いにいくつもりなんてないんでしょ」

透かされた心の内に意味もなく手に力が入る。
暑いのか、寒いのかもわからない。
見透かされるというのは、こんなにも怖いものなんだろうか。

「コナンくん、さっきからなんの話をしているんだい」

視線の奥でネオンのライトが不規則に揺れた。

「この会話だけなら、本当に他人だと騙されたかもしれない。

安室さんはすごいな。そこまでして、なにを守るの」

嫌な予感がぞわりと背筋を這う。
かかったのだ、自分は。この小さな探偵の針に。

「安室さん、

Aさんの名字を知っているのは、Aさんの知り合いだけなんだ」

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六年前、事件を追ってあの街へ向かった。

組織が関わっているかもしれないと聞かされていた。

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