ほろよいリスタート (ページ11)

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ほくとくんの家でシャワーを借りて帰って、現在の時刻は16:00ちょうど。

ほくとくんの家に向かう準備しているとスマホから通知音が鳴った。画面をタップして確認すると『ちょっとAと行きたいところあるから可愛くしてきて』ってほくとくんからメッセージが来ていた。行きたいところってどこだろう。そして可愛くとは…？一応『はーい』の文字とキャラクターが手で丸を作っているスタンプで返信をして、おろしたてのワンピースに着替え直して、セミロングの髪を緩く巻いて、酔ってもコケないくらいの絶妙な高さのヒールを履いて家を出た。

〜〜〜

17:00、渋谷駅前待ち合わせ。
土曜日のこの時間に渋谷駅待ち合わせは合流までが過酷すぎる。ほくとくんがもう着いているみたいだけど、どこでしょうか…。

ほくとくん探しのためキョロキョロしていると、後ろから回り込むようにして男の人が近づいてきた。

「あ、お姉さ〜ん、今時間ある？」
「あっ…えっと、大丈夫です」

すぐに目線を逸らしてぺこっと頭を下げてその男の人から離れようとすると

「待って待って(笑)お姉さん、可愛くて！インスタだけでも交換しません？」

と言って食い下がらない男の人。うわあ苦手。はやくほくとくん見つけないと。でも焦れば焦るほど視野が狭まってしまって見つけにくくなる。

「ごめんなさっ」

もう一度丁寧にお断りしようと思って男の人の方に向き直すと

「ほんとにお姉さん可愛いね、一目惚れしちゃった」

と言われ、私の左手を男の人が両手で握る。わわわ、接触される系の声かけ初めてされた。こわい。体が固まってしまって振りほどけない。心臓の音が周りに聞こえちゃうんじゃないかってくらいばくばくして、手が冷たいのにじんわりと手汗がにじむ感触がある。

断らなきゃ。行かなきゃ。

そう思っていた時、空いていた私の右手が誰かの手によって引き寄せられる。

「いたいた。ごめんなさいね。俺、この人と待ち合わせしているのでお引き取りください」

安心する声に反応して顔を上げるとほくとくんだった。