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「お、お邪魔しまーす…」
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そろり…そろり…。指定された廃ビルの中を進む。
え、待って誰もいないんだけど。時間合ってるよね?
思い出すのは数日前。
施設育ちだった私はとある家庭に貰われて生活してたんだけど一身上の都合でひとりで生きていくことになり、地元を離れてこの街に流れ着いた。
家を出てすぐ持っていたお金は底をついてしまって、稼ごうにも身元がハッキリしていない人間は雇ってもらえないらしく、何十軒も断られて、金なし。宿無しホームレス。空腹も限界である。
も…もうこうなったら臓器でも売ってお金にするしか…と絶望していた所
運がいんだか悪いんだか私に声を掛けてくれた人が本当に本当に臓器売買の商人の方で…
あれよあれよと手術日と手術場所が決まり、今日怯えながらその日を迎えてガクガクと震える脚で指定場所に来てみたらコレだ。
え、本当、誰も居ないんですけど。
2階建ての小さな廃ビルの中は病院らしいベッドだったり点滴を吊るす棒みたいなのはいくつもある。
けど、それが今現在も使われているようには思えないほど埃を被って煤けていて、カルテみたいなものは散らばっているし薬品の瓶は割れて転がっていた。
何か戦慄なんちゃら〜とか言うお化け屋敷みたいだ。
か、からかわれただけだったのかな…
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作者名:と び ま る 。 | 作成日時:2019年10月10日 0時