【d!】どっちもお断りだっつってんだろ【相.棒.組】 (ページ6)

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５話ページ6

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逃げている。私は今、全力で逃げている。昼休憩が終わるまであと30分。まだ全然経ってない。

「あれぇ……確かにこっちに来たと思ったんやけど」

堂々と一年生の教室まで見回りに来るんじゃないよ、皆びっくりしてるでしょうが。息を顰めて廊下の柱の影に隠れる私に、賢い下級生たちは気を使って“いない”フリをしてくれている。本当にありがとう優しい子たち。

でも正直バレるのは時間の問題だ。こっちまで歩いてきたらさすがにわかる。できれば教室入りたいけど今動いたら即バレそうで動けない。

今日は捕まるわけにはいかないのに。

「Aさん」

「え…？あ……しょっぴ君……」

「こっちへ」

「え、は、はい」

ショッピ君に小声で教室へ招き入れられ、教壇の下に押し込まれる。ちょっと狭い。シィ、と口に指を当てて立ち上がったショッピ君は私から離れていく。

すると、廊下から聞き慣れた声がした。

「チーノ、Aちゃん知らん？こっち来てる筈なんやけど」

「あぁ、さっき見ましたよ！でも、タダで教えろなんて言わないですよね？」

「お前……ホンマがめつい奴やな。わかった、今度奢ってやるから。どこ行ったん？」

「さすが兄さん！Aさんならそこの階段降りた先の渡り廊下ですれ違いましたよ」

チーノ君！！私は感動した。ありがとうチーノ君。初対面で詐欺師とか言ってごめん。

私がここにはいないという偽情報を得て、奴らは別の場所へ向かったようだ。コネシマがショッピ君の方見てた時は怖かったけど。よかったバレなくて。

「いつまで教壇の下に入ってるんですか。もしかして気に入りました？」

「なわけあるか」

「で、今日はどうしたんです？いつも以上に必死に逃げてましたけど」

「まぁまぁ、話は食べながらでいいでしょ！Aさんもお昼まだでしょ？一緒に食べましょ！」

「あ、う、うん」

チーノ君に手を引かれて席に案内される。窓際の席で欠席らしい子の席に案内されて、ショッピ君も入れて3人で囲んでお昼を食べる事にした。

「助けてくれてほんとありがとね。お礼はするから」

「じゃあ今週土曜、俺とデートしてください」

「あ！ショッピお前、最近できた噂の猫カフェ行く気だな！？」

「男一人はさすがに行きづらいんで…」

「なんだ、そんな事。いいよ、付き合ったげる。今週の土曜日ね」

「待ってください姉さん。俺も行きます」

「誰が姉さんじゃい」

可愛い奴らめ。荒んだ心が浄化されるなぁ。