【d!】どっちもお断りだっつってんだろ【相.棒.組】 (ページ28)

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２６話ページ28

・ut side

シッマとショッピ君の声が聞こえない。白確が潜伏する意味はないから本当にいないのだろう。問題は相方の方やけど、トーテム渡したし相打ちはない筈や。となれば潜伏している。そういう事にしておこう。

頼む、生きていてくれ。俺を1人にしないでくれ。

「大先生どこ？」

「俺は今一階に降りたぜ」

「ほんまか？」

「ほんまほんま」

正直に言うぜ。なぜなら相棒を信じているからだ。

トントンがどこにいるかはまだ掴めないが、あっちも俺を見つけられていない。大丈夫や。さぁ、いるならかかってこいトントン！

扉を開けて室内を見渡す。人影なし。フッ、脅かしやがって。構えた弓を下げてふと振り返ると、真っ直ぐ伸びる通路の先にその姿を捉えた。

「ッ！」

外した。次を構える前に飛んでくる矢を避けて先程の部屋に入る。開いた扉に牽制も兼ねて飛んでくる矢。壁越しに反撃の隙を窺うが、踏み出せない。

無理や！早撃ちは専門外！

窓越しに見れば、トントンも個室の入り口に身を潜めながら弓をこちらに向けている。隙がねぇ。

「おい……出てこいよ大先生」

「嫌です」

「ええんか？Aも見てんのに」

「見てるからや。あの子は僕を庇って死んだ、お前が殺したんやトントンっ！！」

「？！ふ、っはははwwwそうやな、俺が殺ったな」

ノリがいいじゃねぇか。

隠れたまま、Aちゃんの形見の煙玉を投げて部屋を出る。顔の真横を矢が掠めた時は生きた心地がしなかった。フェイクに2発ほど撃った後、道を逸れる。

トントンが動いてなければ裏を取れる位置の一歩手前でヤツと鉢合わせた。

「わかってんだよなァ！」

「クッソマジか！」

最後の煙玉を投げつけて近くの部屋に逃げ込む。

あぁクソッ！今撃てたやろなんで逃げた！煙に撒く事はできても瞬間的に攻撃に転じる事ができない。裏取りするのもお見通し。万事休すか。

その時、窓越しに目立つ金髪が見えた。

「(相棒…！)」

トントンにはまだバレてない。挟み撃ちできる。いや、念には念を。弓から紙に持ち替えて、意識がこちらに向いている隙に館内を停電させた。

「あぁっ、停電！」

「バカが油断したな！！」

すぐ隣の扉に無数の矢が刺さっていく。イキったものの暗闇で弓を抱きしめて出られないまま耳をすませていると、廊下で大きな音がした。

「美味しい！！」

「プロかお前！！」

視界の悪い中ばちこりと決めてくれた相棒に、惜しみない称賛を送った。