【d!】どっちもお断りだっつってんだろ【相.棒.組】 (ページ11)

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９話ページ11

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かわいい。この世にこんな癒し空間があったなんて。ごろんと横になる猫ちゃんたちを眺めてるだけで癒される。凄いな、全然相手にされなくても可愛い。

猫には詳しくないからどんな接し方すればいいのかわからない。ショッピ君を見ると、私の隣に腰掛けて、寝てる猫をじぃっと見つめているだけだった。

「触らなくていいの？」

「猫は臆病なんで。人に触られるのはかなりストレスなんですよ」

「あ、そうなんだ」

「俺は見てるだけで十分です」

「うん……かわいいね」

「かわいいです」

……なんかお前も可愛く見えてきたよ。寝返り打ったり伸びしてる猫に合わせて体が傾いてる。無意識か？

ゆったりした時間が流れてく。なんか、最近いつも振り回されてるから久しぶりにこんな平和な時間を過ごしてる気がする。

あんまりじっと見られるのも好きじゃないかも。視線を逸らして静かに立ち上がり、さっき頼んだドリンクを口に運ぶ。りんごジュース美味しい。

「先輩は他に何か頼みますか？」

「あ、ううん。私はいいよ。ショッピ君は？」

「俺もコーヒーだけでいいです」

カウンター席まで戻ってきたショッピ君。なんかデートみたいだな。

側から見たらカップルにでも見えるのか？ただの先輩と後輩なんだけども。視界の端に見えた仲睦まじい男女に少し気恥ずかしくなって、その味を誤魔化すようにドリンクを呷る。

チーノがいたらこんな変な気持ちにはならなかっただろうに。寝坊助め。

「チーノ、来れなくて残念だったね」

「…残念ですか？」

「一緒に行きたかったんでしょ？」

「ないです。あんな大男おっても猫が怖がるだけ」

「お、おう」

そ、そんな全力で否定してやるなよ……友達だろ。空になったグラスを下げると、ショッピ君が続けて口を開いた。

「……俺は、先輩と来たかったんです。だから寝坊してくれてラッキーでした」

「え？」

「だってずるいじゃないですか。コネシマさん達は歳も近いし俺よりずっと近くにいられる……だからあの時助けたんですよ。俺だって……」

「なぉ」

……なぉ？

ショッピ君の言葉はカウンターに上ってきた猫が彼の腕に頭を擦り付けてきた事で切れた。珍しい……あ、意識逸れたな。

「会計してくる。そろそろ時間だし、先輩が奢ってあげよう。特別だぞ」

「……クソ…」

最後の呟きは聞かなかった事にした。

あと、窓の外で荒れ狂っているストーカー共も見えないフリをした。通報されろ。