【ツイステ】攻略できないキミのこと【男主】

29.媚 ページ29

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『おじたーん、起きて』









高めの声で言うと、レオナ寮長は両眼を開き上半身を起こした。


そして、ゆっくりと隣にいる俺の顔を見る。そのレオナ寮長の表情は見るからに眉間にシワを作り、不機嫌そうだ。









『おはようございます。準備は出来たのでこれを持って下さい』

「毎回その起こし方やめろ」

『いいじゃないですか』









チェカくんの偉大なパワーを申し訳ないが遠慮なく毎日使っている。


レオナ寮長は案外だらしない。案外、は要らなかったかな。
まあ、悪い人ではないんだけど。結構昼食の時に奢ってくれるし。



すると、ノックをする音が聞こえた。









「レオナ寮長、失礼します。A、まだ行かねえの？」

『ああ、少しだけ待って下さい。今日先輩の好きな牛肉のソテーが出ますよね！』

「そうそう、待ってるからな」









どうでもいいから早く出ろ、と口端を上げたまま彼が扉を閉めるまで見つめる。


面倒だな。かなり気に入られてしまったようだ。会ったらそこそこ話すような関係な一番楽なのに。





後ろから俺の背中に穴が空いてしまいそうなほど視線を感じる。
ゆっくり振り向くと、呆れたように見るレオナ寮長。









「よくそんな媚び売れるな。俺にもその優しさ、少し分けろよ」

『レオナ寮長は、媚びても意味ないじゃないですか。俺が媚びたら、この洗濯物片付けてくれます？』









答えは勿論No。知ってた。


そんな人間にまで媚びていたら、俺は過労死する。







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