２８。 ページ29
･
『……ギブです』
「A、いつも飛んでいるのに何故無理なんだ？」
マレウスくんの言葉に心臓に矢が刺さる。
入った途端ジェットコースターに乗り見事に酔ってしまった。生憎、俺は乗り物酔いが激しい。箒が乗れるのは日々の努力の賜物だ。それ程俺はジェットコースターとは馬が合わない。
一度、ユニーク魔法を使いジェットコースターと仲良くなり酔わないように加減してもらったが「子供が乗るトロッコか」と苦情殺到。
その日から俺は二度と自分の為だけに魔法を使わない事を誓った。
『死ぬわコレ、乗らなきゃ良かった……』
「何故、乗ったんだ？」
『だって、マレウスくんと乗れば守ってくれそうだし』
そう言った途端、マレウスくんは目を輝かせて何となくほのぼのとしたオーラを見せてきた。
やめろ。なんだその目。俺の事を赤子だとでも思ってんのか。
マレウスくんが渡してくれた水を酔い止めの薬と共に口の中へ注いで、背もたれに体を預ける。
『マレウスくん先に乗ってて良いよ。俺、ちょっとダウンしてる』
本当に俺は何をしてるんだ。
まあ、遊園地なんてまた来ればいいしマレウスくんを誘うことが本来の目的だから落ち込むことでも無いか。
しかし、目の前のマレウスくんは一切変わらず俺の背中を撫でている。遂に言語が通じなくなったとか？
「落ち着いたら帰ろう」
『えっ、いやいや、勿体ない。マレウスくんは折角来たんだから色々行ってきていいよ』
「行かない。Aが居ないと意味が無いからな」
『ゑ？』
思考回路が停止し、顔も固まる。
俺の意味？
何も無いと思うけど。
彼は時折理解不能な言葉を放つ。また何か企んでいたりするのか、とジロリと目を細めて顔を見つめると、彼は少し微笑んだ。
「ジェットコースターは箒で飛ぶのと大差ない。メリーゴーランドは馬に乗ればいいだけだ。観覧車は何時でも空に飛べる。だけど、Aという存在には代わりがない。意味が分かるか？」
……本当、どんだけ俺に甘いんだよ。
『変な奴』
「何がだ」
『全部』
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 366人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
どぽぽ(プロフ) - きのこさん» ｳｯｯｯｯｯ嬉しすぎて胸に刺さりました……！！ありがとうございます！ (2021年3月21日 23時) (
レス) id: 7f61df18d8 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - ﾊｧｧｧｧｯｯｯｯ!!好きですぅうう！！！ (2021年3月21日 22時) (レス) id: 402b432e1e (このIDを非表示/違反報告)
どぽぽ(プロフ) - kanameさん» 嬉しいです！！読者様を笑わせることが出来て良かった(≧▽≦)これからもお楽しみに！ (2020年11月28日 8時) (レス) id: 7f61df18d8 (このIDを非表示/違反報告)
kaname(プロフ) - 面白すぎてニヤニヤしてました！続き楽しみにしています！ (2020年11月28日 4時) (レス) id: 2af994e445 (このIDを非表示/違反報告)
どぽぽ(プロフ) - ののさん» ありがとうございます！暖かいコメント、とても支えになります(*´∀｀*)読んで下さり本当にありがとうございます<(_ _*)> (2020年11月11日 23時) (レス) id: 7f61df18d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
