続きbyテンガイユリ ページ4
そうして、恋人の腕の中で泣くこと数十分。
ようやく涙が止まって、気分も落ち着いてきた。
「悪いな。こんな夜中に呼び出して」
気分が落ち着いてきたことで少しずつ物事を考えられるようになってきた。
「大丈夫ですよ! なんてったって優さんの頼みですから」
「ありがとうな」
「それにしてもどうしたんですか? こんなに泣くなんて珍しいじゃないですか」
それは当然の疑問だと思った。自分でもここまで泣くことなんて珍しいと思うからだ。
「あー多分ストレスだな。最近ついてない事が多くて。それで悪夢を見た矢先にこの悪戯だからな」
「……ごめんなさい」
「はあ。そう思うならはなからやるなよ。俺はシャワー浴びてくるからそれまでには絶対片付けとけよ!」
「はいっ!」
そう言ってなるべくアイツらのそばを通らないようにして着替えを持って脱衣所に向かう。
途中、鏡で見た自分の顔は誰が見ても泣いていた事がわかるであろうくらいに目が真っ赤に腫れていて、少し笑ってしまった。
シャワーを浴びてスッキリして寝室に戻ると、涼は律儀にまだ部屋にいた。
「ちゃんと片付けたんだろうな」
「もちろん! もう僕の部屋に持っていきましたよ!」
「お前一回自分の部屋戻ってからまた俺の部屋に来たんだな」
部屋は少し遠いのにそうまでしてくれたのに驚いた。
「はい!それで優さんはもう大丈夫そうですか?ならもう自分の部屋に帰りますけど」
「あーその……いやでなければでいいんだが、今日は一緒に寝てくれないか?」
シャワーを浴びている間に戻っているならそれでもいいと思ったが、俺の様子を見てから帰っていいかを聞く涼に欲が出た。
「また悪夢を見ないか少し怖くってな……無理強いはしないが……」
「それくらいお安い御用ですよ! 優さんも泣いて疲れたでしょう? 今日はゆっくり寝ましょう!」
少しきょとんとした後涼はいつもと変わらない笑顔でそう言ってくれた。
「ありがとう」
さすがに男二人で寝るには狭かったが、それでも安心できて、ぐっすりと眠れそうだった。
「おやすみなさい優さん」
「おやすみ、涼」
悪戯のことでちゃんと怒るのは起きたらにしよう。そう思いながら、俺は眠りについた。
その夜はもう悪夢は見なかった。
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作者名:らなこな&テンガイユリ様 x他1人 | 作者ホームページ:無い。
作成日時:2020年3月9日 11時