. ページ11
[いらっしゃいませ!彼女さん、彼氏さんにチョコのプレゼントはどうですかっ?]
ニコニコ言う店員さん。……うん、店員さんが悪くないのは分かってる。
『あはは、』
苦笑いしか出来ない。カレカノでもないし、まず後輩とそんなふうに見られること自体、嫌だろうなぁと思っていたら…
「あー、Aちゃん買ってくれるん?」
って、至極嬉しそうに言う。そんな顔を前にして、断ることなんてできなくて…
[お買い上げありがとうございます!]
…買ってしまった。
でもまぁ、これから先丸山さんにバレンタインで何かをあげる機会はないだろうし、最初で最後のバレンタインということで、いい思い出かな。
『丸山さん、どうぞ』
「んふ、やったぁ!」
とても嬉しそうな丸山さんに、私も嬉しくなる。
『そんなに喜んでもらえてよかったです』
「Aちゃんからチョコ貰うん夢やってん!」
「やって、彼氏でもないのにチョコちょうだいとか言えへんやん?」
なぁ?と聞かれるけど、私の思考はついていかない。
『どういう、ことですか…それ』
「……引かんといてな?…おれ、Aちゃんのこと、すき…やねん」
『え…』
「俺、結構アプローチしてたんやけど…(笑)」
衝撃の告白をする目の前の人は、照れているのかまだ酔いが覚めていないのかほんのり顔が赤い。
[好きです、付き合ってください…]
5人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きりん | 作成日時:2018年2月21日 19時