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不意に誰かに後ろから抱きしめられた。
『…ん、樹音。
どうした？』
「ううん、壮大が居たからしただけ」
『んだよそれ』
正解は樹音だった。
「壮大、今日一緒に帰ろ」
『おっけー
あ、じゃあちょっとまってて。俺出さなきゃいけないやつあってさ、
まだ出してないんだよね』
「またかよ。じゃあ校門で待ってるから、早く来てね」
『りょーかい、すぐ行く！』
樹音とは基本毎日帰っている。
そして今日も一緒に帰る。
俺と樹音は同じマンションだから、帰り道も行く道も全部同じなのだ。
これは中学の時から同じ。
俺は昨日までだった提出物を、走って職員室まで届けた。
ーー
『樹音おまた…せ〜…………まぁそうだよな、』
樹音を待たせないように走って帰ってくると、また案の定樹音の周りには沢山の女子が居た。
こいつはモテるからな、仕方ない。
呆れた表情で樹音の元へ歩いていった。
「ん、壮大」
そう樹音が俺の名前を口にした瞬間、その場に居た女子がみんな俺の方を向いた。
なんだ、怖い。
「えっ、壮大くんじゃん！」
「もしかして樹音くんと帰るの？」
『うん』
周りが騒がしくなってきた。
「えーやっぱラブラブなんじゃーん！」
『俺らはそんなんじゃないよ〜』
「えー、そうなの？」
『うん、ただの友達！』
「……よかったぁ…、」
この子は樹音のことが好きなのか。
結ばれたら良いな。
そんなことを思いながら、樹音の元へ行こうとした。その時だった。
『うおっ、！』
樹音に腕を引っ張られた。
その反動で樹音の体に当たってしまう。
一部の女子が黄色い声をあげたが、そんなのにはお構い無しに樹音は俺の腕を引き続けた。
「早く行こ。帰り遅くなる」
『？…おう』
冷たいな。
どうした？
女子たちに軽く手を振り、樹音の後に続いた。
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作者名：鯖の味噌煮ちゃん | 作成日時：2024年3月3日 22時
