【土方十四郎】きこえますか 3

それでいいのか ページ14

土方視点




ユキがいなくなった
総悟が病室に行った時にはすでにいなかったらしい

隊士が探しに行っているがまだ見つかっていない


「土方さん、あんた探しに行かねぇんですか」



部屋で書類と顔を合わせている俺に対して総悟は聞いてくる
いつもの口調であるが、怒りを込めているのがわかる



「…彼奴らから連絡があるかもしれねぇだろ」


…総悟が俺に素で怒りをぶつけるのは珍しい




「本当にそれでいい満足ですかい？」




あのときは…そうだ、ミツバ＿＿＿＿





「探してやれよ、最後ぐらい自分の気持ち正直に言えって言ってるんでい…！」




「…んなこと、俺が一番わかってるよ」




だが、言ったところでどうなる


「これ、ユキからです。」


総悟が机の上に置いたのは、マヨリーンだった



「買い物袋に入ってやした。あんたが喜ぶことを考えて、ユキはこれを買ったんだと思いますよ。
　どんな時でもあいつはあんたのことを」


「…」


「あんただって同じなはずでぃ、隊員のことは俺に任せて早く行きやがれ土方コノヤロー」



「さん付けやがれ」



総悟の言うとおりだ




いつまでウジウジしてるんだ




過去ばかり囚われて、ユキとちゃんと向き合わず遠ざけようとして









「隊士たちの指揮はお前に任せる」





「了解しやした」




「総悟、ありがとな」




上着を羽織って、部屋を後にした











「姉上…あんたが惚れた男はケツ叩かねぇと動かなくて困りやすよ」



それに応えるかのように、風が騒がしくなった

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