【土方十四郎】きこえますか 2

曇天 ページ46

ユキ目線




ここのところ


「今日の天気はくもりのち雨です」


そんな日が多い





季節が春から夏に移り変わっている証拠なのだろうけど
雨はどうしても苦手だ





ジメジメしていら上に、洗濯物は干せないし、乾きにくい…など色々あるのだが、






一番は嫌な過去を思い出してしまう



暗闇の中に出され、
何度も何度も開けてほしいと頼むけど返事は返ってこない
聞こえてくるのは、
私の事など忘れてぐっすり眠って出てくる吐息だけ





服は雨でほとんど濡れて寒い


手は悴んで青ざめて感覚が無い


体の震えが止まらない





それがまるで昨日の出来事みたいに、鮮明に覚えてる



いつまでも考え込んではダメなのに

ここには、そんなことする人なんて誰一人としていないのに



「…」


テレビを切り、縁側に向かった




空は曇っていて、もうすぐ雨が降りそうだ




そんな空に手を合わせ






ここで過ごす雨の日がいいものでありますように




と祈った





このあと、あんなことになるとは思わなかった

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