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game over ページ15

偶々Aさんと仕事をする機会があった。



裏切り者を処罰することだ。



いつもはマフィアとは思えないAさんだが、今日一緒に仕事をしているときの



Aさんはいつもとは別人だった。



勿論あからさまに態度が違うわけではないが纏っている雰囲気が全然違った。



「どんなに足掻いても……結局は組織の駒だからね。



マフィアも、社会も、そんな物だよ」



彼女がほんの数分前に口にした言葉だ。



その時の表情には翳りがあって。



彼女の生きて来た12年間の人生の中には何があったのだろう。



そう、思わせるような台詞だった



「裏から入るよ」



そう云うAさんの後ろにつき、銃を構える。



乗り込んだ先には……誰もいなかった。



「逃げた……か」



チッと舌打ちをし、棚から資料を抜き出すAさん。



ふと気配を感じて振り返ると、



「んっ!?」



二人掛かりで押さえつけられ、外套を剥ぎ取られる。



一瞬のことだった。



_________________________________


チャキッという音が背後から聞こえ、拳銃を向けられていることに気づく。



勿論気配を感じていなかった訳ではなかったが、芥川がなんとかするだろうと思っていた。



……間違いだったか。


絶体絶命。王手をかけられた状態。このことをなんて言うんだっけ?



「ゲームオーバー、かぁ……









異能力。時間跳躍」









瞬く間に数分前に戻り、今は敵の拠点に入ったところだ。



扉の近くで待ち伏せし、敵が入ってきたところを撃つ。



生きたまま持って帰るべきだろうか。



……否。



やっぱり殺そう。



生かしておく理由が無い。



まず脚を。



敵の躯が痛みに跳ねた。



次に胸を。



敵の喘ぐ声が聞こえた。



最後に頭を。



敵の目に涙が見えた。



嗚呼、殺したくないな。



引き金を引く。



血飛沫が飛ぶ。



嫌だな。



死にたくないな。



そう、私は多分、マフィアには向いていない。



そんなことわかってる。



でも、 太宰さんが、中也さんが、芥川が。



皆んなが居るから。



だから……辞めたくても辞められない。



「帰ろ。芥川」

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作者名:消月 | 作成日時:2017年11月30日 19時

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