異能 ページ4
一面がコンクリートで覆われている倉庫の中、
私は中原さんと首領に見つめられていた。
私の異能は先天性で、二つ。
一つは過去に遡れる異能、{時間跳躍}だ。
……異能名がダサい?よく言われるが、気のせいの筈。因みに私が命名した。
これには制限があり、24時間以上前には遡れない。
指を鳴らし、戻りたい場面をイメージすることで発動する。
あ、そうそう。この異能の適応範囲は同じ空間にいる人。
二つ目は火を操れる異能、{火焔}だ。
これは無意識下で発動する事があり、安定していない。
私がこの異能を使う時、大抵火種は私の右手なのだ。
だから私は自分の異能で出した炎に限り、火傷もしないし死にもしない。
まずは一つ目から。
「……時間跳躍」
そうして私は指を鳴らすと、この倉庫に来る前の時にタイムリープした。
それからもう一度同じやりとりを繰り返して、冒頭の場面に戻った時こう告げる。
「この異能力はもう使いましたよ?」
と。
周囲の人間はそれに気づかないから厄介だ。
そう。一つ目の異能力は証明のしようがないのだ。
でも、恐らく戦闘の時は絶大な力を発揮する。
目を丸くする彼らを華麗にスルーし、私は二つ目の異能力を披露した。
「……火焔」
そう呟き、手首をくるっと回すと右手の掌に火玉ができた。
「首領、此れ、どこに投げれば良いのですか?此処で投げれば火事になるかもしれません」
そう聞くと、
「此所はコンクリートだから構わないよ」
との返事があったので、火玉をポーンと投げ、大きく広げ、龍のように壁や床一面に
炎を這わせ倉庫を熱気に包んだ。
呆気にとられる彼らを見て、少し嬉しくなった。
……誰かに認められるってこんなに嬉しいものなんだ。
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作者名:消月 | 作成日時:2017年11月30日 19時