ラプラスの魔【東リべ】【夢主】 (ページ48)

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４６．お母さんページ48

花桐SIDE

　私は出来るだけ止血しようと傷口を強く抑え、持っていた包帯をお腹に巻き付けた。ちょっと苦しいだろうけど我慢してね。マイキーのためにも…貴方を死なせるわけにはいかないの。

マ「ケンチン、喧嘩はもう終わりだ」

　…！？…マイキー、何を言って…。…ほら、半間も驚いている。

半「オイオイオイ、喧嘩は終わり！？ナメてんのかマイキー？そんなのテメーが決める事じゃねーだろーが！！」

　前と同じ銃弾のような音。今度は見えた…、マイキーの蹴り。あの死神も一発で落とされた…。周りの子たちも怖気づいて逃げ惑っているわ…。逃げていないのは…羽宮だけ。

羽「終わらせようぜ、マイキー」

　ッ…感情を一切露わにしていないあの顔。羽宮…、それ以上煽ると本当に殺されてしまう…。

マ「大事なモン壊すしか能がねぇなら、俺がここで…壊してやる」

　「駄目…」

　…ねぇ…救急車はまだなの？私の止血も完璧じゃない、いくら抑えているからといってこのまま救急車が来なかったら場地君は死んでしまう。そうしたら…、マイキーは…。

　「貴方が…壊れちゃ駄目よ…」

場「マイキー」

　「ッ！！場地君！動かないで！」

場「マイキィィ！！」

　…ッ！駄目…これ以上動いたら…！

場「俺は死なねーよ。こんな傷じゃあ俺は死なねー！！！気にすんなよ、一虎」

　ナイフ…、まさか…自分で。

　「場地ッ！！やめなさい！」

場「俺は…」

　私の足は無意識に場地君の方へと向かっていた。多分人生の中で一番足に力を入れたと思う。気づいたら私の手は血だらけになって、場地君は頬を抑えていた。…ナイフを持っていない片方の手がひりひりと熱くなっている。

　「仲間のために命を捨てられる貴方は誰よりもかっこいいわ…。でもね？貴方を失った後のみんなはどうなると思う？一人取り残された貴方の母親は！？貴方、私に言ってくれたよね？勉強を一度だけ教えてあげた時、これ以上留年したらおふくろが泣くって」

　場地君は何も言わずに下を向いている。これが場地君の意思を否定し今までの努力を水の泡にしている行為だってわかってる。…それでも言わずにはいられない。

　「確かに貴方が留年しても、反抗してもお母さんは悲しむでしょうね。…でも！何よりも一番悲しいのは貴方がもう二度と戻ってこないことよ！！」

場「ッ…！！」

　手に込める力が一層強くなり、掌が半分ぐらいまで切れかかっている。痛いとは思わない、それよりも…私は心が痛いわ。