17.心の拠り所 ページ19
チビ花桐SIDE
華相って人は今まで会ってきた不良と違う感じがした。具体的に何が違うのかって聞かれたらわからないけど、何となく…違う。根拠のないことは嫌いなんだけどね。
紫「それで?優等生ちゃんが何でこんなとこに?」
私「親から逃げてきたんです。両親が大嫌いで…、もう何日も顔を見ていません」
華相さんは私の話を否定も肯定もせずただ黙って聞いてくれた。そして話し終わった時にこういった。
紫「じゃあ今日から俺が君の心の拠り所になるよ。俺と君はよく似ている。親に自分の価値観を押し付けられ、自由を奪われた。君は…疲れちゃったんだね」
この人は…私を理解している。…会ったばかりなのに、全部見透かされているような感じ。目を見れない…。
紫「何もかも嫌になったら全部投げ出せばいい。自分の好きなことを見つけて、それに没頭すればいい。そして…また戻りたくなったら戻ろう。…子供は自分に素直になっていい、もっと簡単に…単純に考えていいんだ」
華相さんは私の欲しい言葉を全部くれた。心のつっかえが取れた感じがした。
私「本当に…それでいいんですか」
紫「俺を見てごらん。辛そうかい?縛られているかい?」
私は首を振って否定した。華相さんはにっこりと笑って私の頭を撫でた。もし私にお兄ちゃんがいたら…こんな感じだったのかな。
紫「ははっ、君は硬いね〜。まだ夜は始まったばかりだ、もっと遊ぼう」
私たちは真昼のように明るい東京の街中を駆け回って色んなことをした。色々遊んだけど、華相さんは一切犯罪に手を染めなかった。
次の日も、また次の日も華相さんは私の元に来てくれた。私の知らない世界を教えてくれた。
本当に楽しかったのに…、
母「A」
私「…お…母さ…」
父「隣にいる男は誰だ」
私「私の…彼氏…」
無理矢理華相さんの腕を引っ張ってぎゅっと体にくっつけた。華相さんもちょっとびっくりしてたけどすぐに察してくれたのか肩を抱いてくれた。
父「最近家に全然帰って来てないと思ったら…こんな男の元にいたのか。帰るぞ、A。こんなクズと一緒にいたらお前まで腐る」
私「この人のこと何も知らないのにクズとか言わないで。紫苑は優しいの!誰にも言えない悩みを何も言わずにずっと聞いてくれた!私がずっとかけてほしかった言葉を紫苑は何の躊躇いもなくかけてくれた!私は貴方達と一緒にいた方が腐ってしまう!」
初めてこんなに親に対抗した。案外…怖くなかった。
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年9月19日 20時