三ツ谷 ページ44
白橋SIDE
……朝…なの…？
「…ッ…、誰も…いない…」
鶴蝶さんは帰っているし…。…でも、今日はもしかしたら三ツ谷さんが来てくれるかもしれない。連絡入れよう…、少しでも一人でいる時間を短くしたい。
『生地が届きました。今日から作業を始めるので、もし時間があれば来ていただけますか？』
三ツ谷さんからの返信は早かった。
三『今週は今の所用事は入っていない。９時少し前に着くようにする』
『ありがとうございます』
良かった…、来てくれる…。
「…目…すごい腫れてる」
そりゃあそうだよね。昨日あんなに泣いたんだもの…。鶴蝶さん迷惑だっただろうな…、本当に申し訳ない。もう泣かないようにしないと…。強く…ならないと。いつまでもたった一人の人間に縋るのは…惨めだから。
時計を見たら８時近くで、私は急いで目を冷やし服を着替えた。久しぶりにぐっすり眠れたおかげか隈は少し薄くなっていた。メイクもいつもより施しやすい。
「…うん、大丈夫。ちゃんと…笑えてる。いつもの営業スマイルだ」
口角を無理矢理人差し指で上げて、私は目を細めた。
なんてしていたら、もう８時半。急いで店のシャッターを開け、店内を明るくした。いい天気だ…、自分の心もこれぐらいスッキリすればいいのに。
三「白橋、おはよう」
「おはようございます、三ツ谷さん。作業を始める前に、届いた生地を見て欲しいんですけど」
私は作業部屋に行って、問題の生地を見せた。
「これなんですけど。思っていたより生地が重くて…」
三「確かに…、もう少し軽い方が良いな」
「ですよね…。ここの部分の生地だけ買いに行こうかな…」
三「昼に少し店を閉めて買いに行くか」
お昼休み…ってやつか。一時間程度なら閉めても問題ないよね、正午はお客さんなんて来ないし…。まぁ昼食を食べているからなんだろうけど。
「いいですね。良い生地屋を知っているので、そこに行きましょう。ここから１０分もかかりません」
三「わかった。じゃあ、早速作業始めていくか。今日はどの部分を終わらせる？」
型紙は全て切り終わっているから何処から入っても大丈夫だけど…。普通は上半身から仕立てていかないと後での調整が大変だから、やっぱり上半身から作るべきだよね。
「上半身から作っていきましょう」
三「型紙は？」
「切り終わってます」
三「流石」
「…ふふっ、ありがとうございます」
私は照れる真似をした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 263人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
suffron*(プロフ) - ゆいとこさん» コメントありがとうございます！三ツ谷君が最推しなんで結構序盤絡ませていきたいと思ってるんです！これからも頑張りますね！ (2022年11月18日 15時) (
レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいとこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます！(おめでとう…なのか？)いつも楽しく読ませていただいてます！！三ツ谷くん出てくるんですね！今後の展開がすごく楽しみです♪無理せず更新頑張ってください！！ (2022年11月18日 15時) (レス) @page1 id: e4df59fc58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：suffron* | 作成日時：2022年11月17日 23時
