仕立て屋と反社【東リべ】【梵天】 (ページ9)

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＊ページ9

白橋SIDE

　「九井…さん？」

九「さっきから何いじってんだ」

　あらま、起きてた。そっか…、反社だから人の気配には一般人よりも敏感だもんね。怒られるかな。

　「別に、何でもありませんよ。寝てるか確認していただけです」

九「もう少しで寝れそうなとこをお前に邪魔されたんだよ」

　「それはそれは、失礼しました。では私は仕事に戻りますね」

　ベッドから出ようとした時、袖を引っ張られた。まだ行くな、ということだろうか。寂しんぼか？んー、あれか。疲れたら幼児退行しちゃう人。昔のことでも思い出して母親の温度が恋しくなったとかね。

　でもまだ仕事終わってないしなぁ…。それにシャワーも入ってない、明日休みじゃないし早起きしたくないから夜に入りたいんだけど。

　「九井さん」

九「…ん」

　「私仕事に戻りたいんですが」

九「俺が寝るまでここにいてほしい…」

　何となく鼻声だな。やっぱりあの目の奥に秘められていた何かは見間違いじゃなかった。…仕方がない、そろそろ寝そうだし少しの間は側にいてあげよう。

　「わかりました」

　私は保育士か何かだろうか。こんなの昼寝の時に寝れなくてぐずってる子供をあやしているのと大して変わらないではないか。私の方が年下なのに。

　「反社も…色々あるもんね」

　５分も経たずに九井さんは寝た。何となく呼吸が浅くて心配だけど。

　いいや、ミシンはやめて仮縫いだけしよう。しないで寝るよりはまだマシだし。１時ぐらいまで仕事して…、それからシャワー入って。そして寝よう。

　私は作業部屋から布を持ってきて仮縫いを１時まで黙々と進めた。たまに隣から苦しそうな声が聞こえてきてビビりながらやってたけどね。夢見悪いのかな、九井さん。私は夢自体見ない人だからわからない。

　１時が過ぎて、気づけば２時。しまった…、やりすぎた。急いでシャワー入って来ないと。

　「ふぅ～、生き返る…」

　メイクも落として髪も乾かして下着だけ着る。あ、でも九井さんいるから今日は下だけでも履かないと朝起きた時きっと悲鳴が横から聞こえることになるな。いや、慣れてると思うし大丈夫か。

　面倒だしこのまま寝よう…。

　部屋に戻ると九井さんがベッドに座っていた。あれ、起きたの？

九「…ハァ…ハァ…」

　「…大丈夫ですか？息荒いですけど。何か怖い夢でも見ました？」

九「…ッ…来い」

　「言われなくてももう寝るつもりでしたよ」

　何があったのかは…聞かない方が良いかな。