仕立て屋と反社【東リべ】【梵天】 (ページ45)

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白橋SIDE

　私はマイキーさんの話を遮った。これ以上の言葉は言わなくてもわかる。

　「今日だって来ないかと思っていましたが…」

マ「約束したからな」

　「そうですね。ありがとうございます、来て下さって私も嬉しいですよ。さて、今回は何をご所望ですか？お客様」

マ「俺だけのスーツを仕立てろ」

　「かしこまりました。採寸しますので、こちらにどうぞ」

　マイキーさんを連れて行こうとすると、三途さんに俺も入ると言われた。まぁ、マイキーさんが良いなら私は構わないけど。男の半裸なんて見てどうするんだろう。…いや、ただの見張りか。私がマイキーさんに何もしないかってね。

三「おい、マイキーに何もしねぇだろうなァ？」

　「採寸だけです、相手はお客様ですから。向こうから何かしてくることはありますけど」

　三途さんの視線がとても痛い。どちらかというとマイキーさんよりも私の方を見ている…、だから何もしないってば…。

マ「…昨日は…」

　「だから…、そのことはもうお互いに水を流しましょうよ」

三「マイキーからの謝罪を拒むなんていい度胸してんなァ！？」

　「うるさい…」

　やっぱりこの人薬飲んでる？声は大きいし、理不尽だし、何より…目が逝ってる。変な痩せ方とか歯は何ともないようだけど。

マ「三途、一旦出ていろ」

三「で…ですが…」

マ「出ろ」

　三途さんはマイキーさんに追い出されて個室から出て行った。…勝手に店の中で暴れ散らかしたりしないよね？…本当に大丈夫だよね？

マ「あの後、竜胆がお前を部屋に連れて行ったがそれからは何ともなかったか」

　「はい、特に体調に問題はありません」

　何ともなかった…と思うけど、何もなかったとは言えないかな。マイキーさんには関係の無いことだから別に言う必要はないけど。

マ「そうか。……良かった…」

　…今、良かったって言った？すごい小さな声で呟いていたから聞き取りにくかったけど、確かにそう言ったよね？

マ「お前は…優しいんだな」

　「優しい…？」

　優しい…か。そう言われることもたまにあるけど、私は…優しくしているつもりなんてない。苦しんでいる人をそのままにすることが出来ないだけ。でも最後まで面倒を見切れないからいつもいつも不完全なまま相手を放っておいてしまう。

マ「こんな俺を…お前は許してくれるんだろう？」

　「許す？貴方、私に許されないようなことしましたっけ」

マ「は？色々しただろ」

　「…そう…ですか？」