仕立て屋と反社【東リべ】【梵天】 (ページ37)

今日:10 hit、昨日:47 hit、合計:144,360 hit

＊ページ37

白橋SIDE

　梵天の中で一番怖い人はきっとマイキーさんなんだろうけど、私にとって一番怖い人は蘭さんだな。明司さんと望月さんという人はまだ会ったことないからわからない。一番ヤバい人は…多分三途さん。薬ヤってんのかなって疑うぐらい。

マ「A」

　「何ですか？」

マ「たい焼き好きか？」

　…たい焼き？…たい焼きってあの？なんかの隠語じゃなくてちゃんとした和菓子だよね？

　「一応食べますけど、甘味自体そこまで好んで食べないので…」

マ「じゃあ何が好き？」

　「好きな食べ物…？…気にしたことなかったですね、そんなこと。よく食べるのは野菜スープですけど」

　自分の好きな食べ物とか興味ないな。まずご飯を食べること自体どうでもいい、一応食べるけど。九井さんにも食事だけは絶対取れって言ってしまったし。

マ「美味しいのか？」

　さっきからマイキーさん質問ばっかりだな、そんなに私のこと気になる？大切な個人情報を聞かれてるわけじゃないから答えたくないわけじゃないんだけど…。

　「美味しいですよ。無駄に調味料を入れず野菜の甘みだけで味付けして…。あ、九井さんには一度食べてもらったことあるので感想聞けると思います」

九「おい、俺を巻き込むな。白橋」

　「…いたんですか」

　あまりにも静かだったからいないものだと思ってた。隅っこの机でPCと睨めっこしてたんだね、また隈も酷くなってきてる。

　「九井さーん、寝てくださいねー。閉店ギリギリに来てお腹鳴らしても今度はご飯作ってあげられませんよ」

九「……休めねぇし」

　「深い睡眠なら２０分で大体８時間分ぐらいの疲れを取れるんです、それぐらいなら休めるでしょう？」

　反社がまっくろくろすけの仕事場だってことは私も知ってる。でもそれで死なれたら困るのはボスだからね、死なない程度に休ませないと。

　「後はまぁ…、好きな人でも作って癒してもらうとか」

九「…は？」

　「好きな人とのハグやキスはストレス解消になるみたいです」

　経験はない。

　因みに私は２５にもなってまだ卒業していない。というか…、相手がいない。人を好きになるという感覚が私にはどうにも理解できないから。でも、今思い返してみるとイザナさんに向けた感情はもしかしたら好意に似ていたのかもしれない。

　どちらかというと、同情…の方が大きかったと思うけど。

九「じゃあ、試しにお前抱いてみるか」

　抱…く…。言い方に問題が大ありな気がしますが…。