仕立て屋と反社【東リべ】【梵天】 (ページ26)

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竜胆SIDE

　俺たちは会場に戻った。パーティーはとうに始まっていて、あちこちでお偉いさん同士の挨拶が交わされていた。

　「何か飲みますか？」

竜「あー、ワインでも入れてもらうか」

　「私貰ってきますね。毒が入っていないかもしっかり確かめてきます」

竜「サンキュ」

　白橋はボーイを探しに行ったが、近くにはいなかったらしく結構遠くまで行ってしまった。いくら男のフリをしているとはいえ大丈夫か？アイツ…。

　探そうと思ったらどっかの社長に話しかけられるし…。

社「君、梵天の灰谷だろう？」

　顔…知ってんのか。じゃあ…後でコイツも一緒に殺さねぇとな。九井には今回のパーティーの主催者は全て殺して構わないって言われてっから。

社「さっき一緒にいた男性、可愛い人だね。最近は入った子？」

竜「そうなんですよ～。一緒に行きたいって騒いで無理を言って連れて来てもらったんです」

　敬語とかキモイ…。アイツ、よく毎日毎日あんな丁寧な敬語使えるよな。マジでそこは尊敬するわ。

社「随分女の子っぽいけどもしかして男装が趣味とかじゃないのかい？」

竜「まっさか～、女なら梵天に入る時点で俺らにバレてますよ」

社「ま、それもそうか！」

　まずアイツは梵天じゃねぇ。

　どっかの社長はカクテルか何かを飲みながら俺から離れて違う女の所にちょっかいを出しに行った。肩とか触んなよ、きめぇ。

　「竜胆さん、貰ってきました。一口飲みましたけど多分大丈夫そうです」

　白橋は右手に持っているグラスの方を渡そうとした…が、

　「あ、こっち口付けた方でした。はい」

　左手の方を俺に渡してきた。それ、毒味の意味あんのか？

　「このワイン美味しいですね。何杯でも飲めてしまいそうで怖いです」

竜「ワインそんな飲まねぇの？」

　「そうですね。飲む機会がないと言うか…、お酒自体飲まないので」

　美味しいとか言いながら進んでいないのはなんでだ？ホントは苦手だけど子供っぽい姿見せたくなくて無理してるとか？

竜「白橋、苦手なら無理に飲まなくていいからな」

　俺は白橋の手からグラスを取ろうとした。

　「え？そんなことないです、ただどれぐらい飲んだら酔ってしまうのかがわかってなくて少しずつ飲んでるんですよ。ちゃんと美味しいですから」

　あぁ、そういうことか。

　俺はコイツの嘘を見破れなかった。もし何か少しでも気づいていたら…。

　「高層ビルから見渡す東京の夜景は綺麗ですね」

竜「そうだな」