５７．計画 ページ10
花垣SIDE
言ってることと表情が合ってないんすよ、Aさん…！
「それでも…、この計画は私一人で行っているものだから成功するかはわからない。もし間に合わなかったら、貴方の方を優先して守る」
武「…ッ！千冬は…」
「出来るだけ守る。でも…過去を変えられるのは貴方だけだから貴方に死んでもらっては困るの。納得できなくても…して。いいわね？…じゃあ、戻るわよ。あまり長く話していると怪しまれるから」
先に戻ってしまった…。ヒールのカツカツという音一つだけが廊下に響いている。その音が…Aさんの今を表しているようだった。…孤独なんだろうか。
俺も戻ったらそこには半間と稀咲がいた。
「ごめんなさいね、稀咲さん。仕事について話したいことがあって借りてたわ」
稀「別に構わないよ」
笑顔！？なんか別人みたいに見えるんですけど。
稀「タケミチ、千冬。ちょっと時間をくれないか？後、Aも来てくれ」
「わかったわ。何の話をするかはわからないけど」
稀咲の方からAさんを誘った…？何で…。
俺たちは新しく建てたらしい店に連れて行かれ、高級そうなソファに座った。稀咲の後ろにはボディーガードであろう男とAさんが立っている。
稀「オレらも随分長い付き合いになったよな。東卍に入って１２年…、今でもあの時の仲間たちでこうやってつるんでられるなんて思ってもみなかった」
意外だ…、稀咲がこんなこと思ってるなんて。ホントに俺らのことを殺そうとしてるのか？Aさんの勘違いじゃ…。…ッ…！
「(油断するな)」
口パクと目線で送ってきてる！
稀「タケミチ…、千冬…、俺のことどう思ってる？恨んでるだろ？ちょうど１２年前のこれぐらいの時期だったな…。場地が死にかけたのは…。…あれは全部オレのせいだ。血のハロウィンは俺が仕組んだ」
それは知ってるけど…なんで自分から！？やっぱり違うんじゃ…、
血のハロウィンを仕組んだのは功績が欲しかったから…、稀咲自身も必死だったらしい。
稀「場地が死にかけるなんて思わなかった…。本当だ、千冬。すまなかった」
…Aさん、俺のこと騙したんですか？稀咲の口からは場地君が死にかけたという言葉しか出てこねぇんだけど…。死んだなんて一言も…。
稀「１２年経ってわかったんだ。大切なのは仲間だ」
武「あの時のこと後悔してるんですか？」
稀「忘れる日はなかったよ」
もう…訳わかんねぇよ！
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作者名：suffron* | 作成日時：2022年10月6日 16時
